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初のモニュメント嬉しいワン! 大河原氏と山ちゃんがヤッターマンを語る

インタビュー

初のモニュメント嬉しいワン! 大河原氏と山ちゃんがヤッターマンを語る

更新 okt1704250001
インタビューに応じたメカニックデザイナーの大河原邦男氏(左)と声優の山寺宏一氏 インタビューに応じたメカニックデザイナーの大河原邦男氏(左)と声優の山寺宏一氏

 東京都稲城市のJR南武線南多摩駅がアニメファンの新たな名所になった。人気アニメ「ヤッターマン」に登場するメカ・ヤッターワンのモニュメントと、同市のマスコットキャラクター・稲城なしのすけの時計台が駅ロータリーでお披露目。22日の除幕式では、デザインを手がけた同市出身のメカニックデザイナー、大河原邦男氏と、2008年に放送された「ヤッターマン」でヤッターワンの声を演じた声優の山寺宏一氏がトークショーを行い、大勢のファンが集まった。

ヤッターワンのモニュメントの設置を喜ぶ大河原氏(左)と山寺氏。一般の来訪者がモニュメントに触るのは禁じられている=22日、東京都稲城市のJR南多摩駅(c)タツノコプロ・読売テレビ2008
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ヤッターワンのモニュメントの設置を喜ぶ大河原氏(左)と山寺氏。一般の来訪者がモニュメントに触るのは禁じられている=22日、東京都稲城市のJR南多摩駅(c)タツノコプロ・読売テレビ2008フルスクリーンで見る 閉じる

 「ヤッターワン、嬉しいワン!」

 山寺氏が約2メートルのモニュメントの横に立ち、“本人”の声で喜びを爆発させると、大勢のファンから「山ちゃん」と歓声が上がる。反対側に立つ大河原氏も、大はしゃぎの園児たちに頬を緩めている。アニメを見たことのない子供も含めて、可愛らしいデザインのヤッターワンが世代を超えて愛されるのが分かる瞬間だった。

 トークショーで大河原氏は「ヤッターマン」のメカの誕生の秘密を語った。

 「1972年に『科学忍者隊ガッチャマン』でメカニックデザイナーとしてデビューした後、『宇宙の騎士テッカマン』『破裏拳ポリマー』『ゴワッパー5ゴーダム』とハードな作品をやっていたのですが、1977年に当時先輩だった、竜の子プロダクションの中村光毅氏から、柔らかいコメディータッチの作品をやってみないかと誘われました」。

 新しいジャンルへの挑戦には不安もあったそうだが、ヤッターワンをはじめユニークなメカの数々が大ヒットとなり、番組は8クールも放送された。また、このときに「柔らかいデザイン」を学んだ経験から「ヤッターマンのようなガンダムを作ってほしい」と依頼があり、風車から手足が生えたネーデルガンダム、釣り鐘と数珠がモチーフのマンダラガンダムなど、奇抜で愛嬌のあるメカの数々が誕生したという。

 放送終了から約30年後にヤッターマンの続編制作が決まり、「イメージは変えないで、よく見ると30年の歩みがある」(大河原氏)姿のヤッターワンが誕生。モニュメントになったのはこちらのデザインだ。

 “七色の声”で多彩な役柄を演じる山寺氏は、劇場版のヤッターマンで、ヤッターワンなど一人十六役をこなしたエピソードを披露した。山寺氏が「心を込めて描いたのに、どうして同じ声優が演じているんだ、と思いませんでしたか?」と聞くと、大河原氏は「制作費は限られているので制作陣としては助かると思います」と笑顔で返答。山寺氏も「私はコストパフォーマンスがいいんですよ!」と会場を沸かせた。

山ちゃん、実は「やりたくなかった」

山寺宏一氏=22日
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 大河原氏と山寺氏は産経デジタルの取材に応じ、モニュメントと作品に込めた思いを語った。

 --ヤッターワンをモニュメントとしてデザインするとき、苦労したところを教えてください。

 大河原氏 とにかく可愛く、可愛くしたかった。発泡スチロールで模型を作ったとき、デフォルメされたように見えたので、両足の幅を狭めて(高さが)伸びて見えるようにしました。イラスト通り作ると可愛さが減ってしまうためです。

 制作は(昨年、隣の稲城長沼駅に設置された)ガンダムとシャアザクの像と同じ、稲城市の開米(かいまい)プロダクションです。二次元のものを三次元(立体)にするのにはセンスが必要で、本当に完璧なものを作ろうと思ったら自分一人でやるしかありません。しかし多くのスタッフが集まって作品を作るアニメと似ていて、協力してくれる人達を信用することで、より良いものが生まれるのだと思います。

 --昨年、ガンダムとシャアザクを披露したときより子供が多かったようです。

 大河原氏 幼稚園の子供たちが来てくれたのは良かったですね。山寺さんが出演してくれたお陰じゃないでしょうか。うちの妻も見にきていましたよ(笑)。

 --山寺さんは学生時代からヤッターマンのファンだったそうですが、その作品に出演することが決まったときの気持ちを教えてください。

 山寺氏 正直、あんまりやりたくなかった(笑)。初めはナレーション役で呼ばれたので、尊敬する富山敬さん(70年代版ヤッターマンでナレーションを担当)の真似にしかならないのではと悩みました。続いて「ヤッターワンなどもやってほしい」と頼まれましたが、それも先輩方を意識してしまう。プロデューサーに相談したら「だったらナレーションもメカも全部やるっていうのはどうだ」と背中を押され、とことん挑戦してみようという気持ちになりました。ナレーションを断っていたらヤッターワンもやれなかったわけですから、やらせていただく決断をして良かったなと思います。自分の役のモニュメントが駅に設置されるなんて初めてなので本当に感慨深いです。

ヤッターワンのモニュメントの前に集まった大河原氏(後列左から2番目)、稲城市市長の高橋勝浩氏(同左から3番目)、山寺氏(同中央)。市内の幼稚園の園児たちも喜んでいた=22日、東京都稲城市のJR南多摩駅
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ヤッターワンのモニュメントの前に集まった大河原氏(後列左から2番目)、稲城市市長の高橋勝浩氏(同左から3番目)、山寺氏(同中央)。市内の幼稚園の園児たちも喜んでいた=22日、東京都稲城市のJR南多摩駅フルスクリーンで見る 閉じる

 --その決断もあり、ヤッターマンは多くの世代から支持される作品になっています。

 山寺氏 大河原先生がおっしゃる通りで、アニメ制作には多くの人が関わっており、声優の仕事はごく一部。でも我々はそこに命をかけています。

 大河原氏 ヤッターマンの場合はドロンジョさんとかの“三悪”のアドリブが相当入りましたね。

 山寺氏 「ポチッとな」(悪役がボタンを押すときに言うお決まりのセリフ)が八奈見乗児(やなみ・じょうじ)さんの即興だったというのは驚きですよ。今では、皆がつい口にしてしまうセリフがアドリブから始まったわけですから、やはりすごい人達が演じていたのだと改めて思います。

 大河原氏 三悪が作品の主役でした。タイムボカンシリーズは何作も続きましたが、やっぱりヒーローより悪役のドロンジョさん達の印象が強い(笑)。

 --モニュメントを見に来るファンにメッセージをお願いします。

 大河原氏 世間では良くないニュースが続きますが、ヤッターワンを見ると心が子供の時代に戻れると思います。疲れたときに見てほしいです。

 山寺氏 ヤッターワンを見た方が明るい気持ちになってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。ヤッターマンには大河原先生が生み出した様々な動物型メカが登場するので、稲城市にたくさんのメカのモニュメントが作られたら楽しいでしょうね。

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