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【学芸員リレーコラム】(5)大河原氏による「アニメ以外」の仕事

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【学芸員リレーコラム】(5)大河原氏による「アニメ以外」の仕事

更新 okt1612280001
稲城なしのすけ 稲城なしのすけ
「大河原邦男キャラクターデザインの仕事/大学編(国立大学法人九州工業大学)」
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「大河原邦男キャラクターデザインの仕事/大学編(国立大学法人九州工業大学)」フルスクリーンで見る 閉じる

 大河原邦男氏はアニメ業界の第一線を走り続ける一方で、近年ではそれ以外の分野での活躍も目覚ましい。革新的な企業や自治体とのコラボレーションがそのひとつだ。変形機能をもつ「乗れるロボット」エクスマキナへの企画・デザイン協力や、先日大きなニュースとなった二足歩行ができる乗用人型変形ロボット「J-deite RIDE」へのデザイン協力は、顕著な例だろう。

 自動車が変形してロボットになる、そしてロボットに人が「乗り込める」-アニメや漫画で夢に見た世界、そして大河原氏が我々に与えてきた夢が、現実のものになろうとしている。これほどアニメの、大河原氏の影響力を肌に感じられる現象があるだろうか。ひとりのメカニックデザイナーが生み出した熱狂が、ひとつの結実を見せたと言ってもいいかもしれない。

 さらに大河原氏が得意とするコミカルでかわいらしいデザインは、さまざまな「マスコットキャラクター」の誕生に生かされている。大河原氏が生まれ育ち、現在も居住する東京都稲城市に提供した市の公式イメージキャラクター「稲城なしのすけ」はその代表例である。

 さて、東京、岩手、滋賀と巡回してきたこの展覧会で、北九州でしかお目にかかれない作品があるのはご存知だろうか。公式図録にも記載がない、正真正銘「ここだけ」の展示物だ。福岡県の北九州市と飯塚市にキャンパスを有する九州工業大学。工学部機械知能工学科の機械工学・宇宙工学コースに提供したマスコットキャラクターのデザイン原画、大河原氏自らが作成したCG(コンピューターグラフィックス)による完成イメージは、これまで外部で公開されたことがない貴重な資料だ。当館でしか見られない大河原氏の「アニメ以外」の仕事を、ぜひ会場で楽しんでほしい。(北九州市漫画ミュージアム学芸員:石井茜)

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