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【学芸員リレーコラム】(4)平面の絵では完結しない「メカニックデザイナー」の仕事

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【学芸員リレーコラム】(4)平面の絵では完結しない「メカニックデザイナー」の仕事

更新 okt1612210001

 アニメの「メカニックデザイナー」という仕事は、何重もの制約の下で行われる。ただカッコいいメカを描けばいいのではない。そのメカを実際に原画や動画に描くアニメーターが仕事しやすいように、なるべくシンプルな線で構成されていなければならない。さらに、大河原邦男がメカニックデザイナーとして活躍を始めた1970年代においては、テレビアニメに登場するメカは、番組のスポンサーである玩具メーカーが玩具として商品化することが前提となっている。したがって、玩具として立体的に再現しやすいデザインでなくてはならない。わけても、大河原が多数手がけた“ロボット”は、「マジンガーZ」(1972-74年)の大ヒット以降、玩具業界の花形商品であったからなおさらである。

 幼少期から機械いじりや工作に親しんでいたという大河原は、そのスキルを生かし、デザイン画の制作とあわせて木製の模型も自作し、玩具メーカーに提案していたという。いわば大河原は、玩具プランナーでもあったわけだ。その意味では、いまや国際的なブランドとなった「ガンプラ」(=「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル)をはじめ、さまざまなプラモやフィギュアもまた、まぎれもなく大河原邦男の“作品”なのである。

 展覧会特設のミュージアムショップでは、2種類の“立体作品”を会場限定で販売している。一つは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』より「ストライクフリーダムガンダム」。そして、『太陽の牙ダグラム』より「ヤクトダグラム」。前者には、展覧会開催会場ごとにデザインの異なる特製シールが付属する。北九州会場は関門海峡大橋や小倉城をあしらったエンブレムで、もちろん、大河原邦男描き下ろしデザインである。一方、後者には大河原イラストのテイストを再現する塗装テクニックの特製手引書が封入され、プラモ初心者や、プラモ作りから遠ざかって久しい往年のファンには嬉しい仕掛けである。

 展覧会を堪能した後は、ショップで作品を買い求め、自宅に飾るまでが展覧会の楽しみ。図録やポストカードなどの平面作品だけでなく、立体作品もぜひ、ご自宅に“お迎え”して、その造形の妙を堪能していただきたい。(専門研究員 表智之)

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