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【限定ガンプラ製作秘話】(下)“平成ガンダム”背中に「OK」文字、アニメにはないデザイン

インタビュー

【限定ガンプラ製作秘話】(下)“平成ガンダム”背中に「OK」文字、アニメにはないデザイン

更新 okt1605210001
「ストライクフリーダムガンダム」の限定版。パーツは通常版より多く、大河原さんオリジナルデザインのデカールなども付属されている=(C)創通・サンライズ 「ストライクフリーダムガンダム」の限定版。パーツは通常版より多く、大河原さんオリジナルデザインのデカールなども付属されている=(C)創通・サンライズ

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場したガンダムなどモビルスーツの生みの親として知られる大河原邦男さんの創作の歴史を振り返る特別展「メカニックデザイナー 大河原邦男展」が滋賀県守山市の佐川美術館( http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/ )で開催中だ。来場者にとって特別展ならではの楽しみの一つが、大河原さん監修の会場限定ガンプラの特別販売。今回選ばれたのは、平成ガンダムの代表作の一つといわれる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に登場した主力メカ「ストライクフリーダムガンダム」の100分の1モデルで、箱絵は大河原さんオリジナルのデザインだ。背中に広がるウイングから放射状に噴射された閃光。よく見るとO・Kの文字に見えるがその答えは…。(戸津井康之)

アニメ版の枠を超えたデザイン

限定版「ストライクフリーダムガンダム」の特長を説明する馬場俊明さん
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限定版「ストライクフリーダムガンダム」の特長を説明する馬場俊明さんフルスクリーンで見る 閉じる

 「想像通り“O・K”は名前のイニシャルからデザインされています」。限定ガンプラの企画・開発に携わったバンダイホビー事業部の馬場俊明さんは笑いながらこう答えた。
 大河原さんの名前から取ったO・Kを噴射の閃光の形にデザインしたこのエフェクト部分が限定ガンプラ専用パーツとして追加されている。馬場さんたちバンダイチームが大河原さんのアトリエで限定モデルの打ち合わせをしていたとき、大河原さんが即興で思いついたアイデアだという。
 3年前、兵庫県立美術館で開催された「超・大河原邦男展」(超大河原展)での限定ガンプラは“ファーストガンダム”こと「機動戦士ガンダム」に登場したRX78ガンダムの100分の1モデル。シールド(盾)や肩部に超大河原展のロゴがデザインされたが、これも大河原さんのアイデアだ。「アニメの設定にないデザインを取り入れることができるのも、限定ガンプラの魅力のひとつです」と馬場さんは強調する。

陸戦兵器の次は戦闘機仕様塗装に

 また、限定モデルの魅力の一つに、成形色が従来製品とは違う点が挙げられる。今回のストライクフリーダムガンダムのボディーの成形色は、アニメで設定されていた白からグレー系に変更された。

 「実は戦闘機をイメージしています」と馬場さん。米戦闘機F16などを彷彿とさせる“兵器のリアルさ”を追究した成形色が採用されている。

 超大河原展の限定ガンプラでは、RX78ガンダムの成形色はモスグリーン系だった。「このときは陸戦兵器をイメージした成形色でしたから、今回はそれとは違うものにしようと、空中戦を行う戦闘機をイメージした成形色を選びました」

 さらに成形色をグレー系にした理由には模型好きのためにこんな配慮もある。

 「アニメの設定に合わせた従来のストライクフリーダムガンダムの模型では、ボディーは白、関節部分の成形色は金色でしたが、限定モデルでは塗装しやすいよう、ボディーをグレー系にしたのと同様に関節部分も地味な色にしました。“ヨゴシやサビ”など模型好きの人たちに、凝った塗装がしやすいように」

メカデザイン誕生秘話

 さらに馬場さんには今回の限定ガンプラをストライクフリーダムガンダムに選定するにあたり、特別な思い入れがあった。

 ガンダムシードシリーズの放送時、馬場さんはバンダイではなく、アニメ製作会社「サンライズ」のスタジオに約2年間、通い続けていたという。

 「上司から突然、明日からサンライズへ行くようにと言われまして…。バンダイの社員なのに、なぜ、と当初は戸惑いました」と馬場さんは当時の様子を苦笑しながらこう振り返る。

 スタジオでは連日、福田己津央監督たちアニメスタッフと新作のモビルスーツのメカデザインの設定などについて打ち合わせが行われたという。

 ストライクフリーダムガンダムのメカデザインもこの打ち合わせで生まれた。

 「ある日、福田監督からストライクフリーダムガンダムが両手に持つ2つのビームライフルを縦に一つにつなげるデザインにしたいと言われました。いったい縦にどうやってつなげるのか? しかし、その設定案を大河原さんに伝えるのが私の役目でした」

 大学でインダストリアルデザインを専攻していた馬場さんは、福田監督が描いたラフスケッチの上に、さらに手を加えながら、ある一つのアイデアを完成させた。

 「一つのライフルの後部をジョイント部分にして回転させ、もう一方のライフルの銃身を差し込んで接続させるアイデアです。福田監督はデザイン重視で、長い格好いいライフルをイメージしていたのだと思うのですが、私は2つのライフルを1つにつなげるその理由も考えなければなりませんでした」と明かす。「でもいいアイデアが浮かびました。2つのライフルを直列につなげることで火力を増幅させるというアイデアです」。苦肉の理由をこう苦笑しながら馬場さんは説明する。

 この馬場さんのアイデアを聞いた大河原さんは即座に理解し、福田監督の案を巧みに盛り込みながら、機能的かつ格好いい新兵器をデザインしたのだ。こんなやりとりを続けながら斬新なストライクフリーダムガンダムのフォルムは仕上げられていったのだ。

 さらに馬場さんの役割はもう一つあった。アニメ上のメカデザインが、無理なくプラモデル化できるかを判断すること。2つのライフルを接続するデザインの際は、「プラモデル化したときにジョイント部分をどんな形状にしたら無理なく可動できるかがカギでした」と語り、実際に目の前で、ライフルのジョイント可動部を回転させ、2本を接続した。

限定版は超レアモデル

 オリジナルデザインの箱絵に特製エフェクトパーツなど通常のガンプラよりも部品数が多く、“レア感覚満載”の仕様となっている。さらに佐川美術館にちなみ、肩部に貼ることのできる特製シールも付く。「BIWAKO」のロゴや琵琶湖を模したマークを大河原さんがデザインした遊び心いっぱいのシールだ。

 早く模型の完成形を見たい-と気は急(せ)くかもしれないが、「時間がかかっても、自分の手で組み立てるその過程の楽しさを味わってもらえれば」。デザインの段階からストライクフリーダムガンダムの開発に関わってきた馬場さんはこう期待を込めた。

 ◇

 「メカニックデザイナー 大河原邦男展」は滋賀県守山市の佐川美術間で6月16日まで開催。限定ガンプラ「MG 1/100 ストライクフリーダムガンダム メカニックデザイナー 大河原邦男展Ver.」(6480円税込み)は会場で発売中。

限定ガンプラ「ストライクフリーダムガンダム」。大河原さんオリジナルデザインの箱絵だ=(C)創通・サンライズ
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限定ガンプラ「ストライクフリーダムガンダム」。大河原さんオリジナルデザインの箱絵だ=(C)創通・サンライズフルスクリーンで見る 閉じる
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