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【究極のメカデザイン】(上)モビルスーツ、AT…アニメ、模型の枠超え美術界にも影響与えたメカデザイン 大河原邦男“最新創作秘話”

インタビュー

【究極のメカデザイン】(上)モビルスーツ、AT…アニメ、模型の枠超え美術界にも影響与えたメカデザイン 大河原邦男“最新創作秘話”

更新 okt1605020002
現在もメカデザインの発注は途絶えることがない。大河原さんは「生涯現役」を貫く覚悟だ=滋賀県守山市 現在もメカデザインの発注は途絶えることがない。大河原さんは「生涯現役」を貫く覚悟だ=滋賀県守山市
「装甲騎兵ボトムズ」の人気AT「スコープドッグ」。大河原さんによる新型ATのデザインとは?=(C)サンライズ
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「装甲騎兵ボトムズ」の人気AT「スコープドッグ」。大河原さんによる新型ATのデザインとは?=(C)サンライズフルスクリーンで見る 閉じる

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」のガンダムやザクなど重厚な未来兵器のメカから、タイムボカンシリーズのヤッターワンなど愛嬌あふれるユニークなメカまで-。その設定画やポスターの原画などを一堂に集めた特別展「メカニックデザイナー 大河原邦男展」が滋賀県守山市の佐川美術館で開催中だ。残念ながら同展には出展されていないが、昨年から今年にかけて4部作で公開される劇場版「機動戦士ガンダム THE ORIGIN(ジ・オリジン)」に登場するモビルスーツや「装甲騎兵ボトムズ」に登場したAT(アーマードトルーパー)の最新メカのデザインなど、68歳となった今も大河原さんは第一線で精力的に創作を続ける。開幕直前に同館を訪れた大河原さんに聞いた“最新創作秘話”を紹介したい。(戸津井康之)

ATの新作の衝撃!!

 「最近描いたデザインですか? 4体の新しいATのデザインを頼まれたので描きましたよ」

 大河原ファンなら驚くべき情報が、いきなり大河原さん本人の口から飛び出した。

 ATとは「装甲騎兵ボトムズ」に登場する大河原さんがデザインしたロボット兵器の呼び名だ。全高4メートルほどの人型ロボットで、人間1人が胸部に乗り込み、操縦する。

 「機動戦士ガンダム」のモビルスーツ、「太陽の牙ダグラム」のコンバットアーマー、そして「装甲騎兵ボトムズ」のAT-と大河原デザインのロボット兵器の変遷の中で一つの完成形を迎えた“究極のメカデザイン”と呼ばれてきた。

 将来、戦車や装甲車などの現用陸上兵器が、人型ロボット兵器となったら、こんなデザインになるのではないか-。そう想像させるリアリティーを持つ斬新なロボット兵器は、放送当時、アニメ界に大きな衝撃を与え、現在もその人気は衰えない。特に主人公、キリコ・キュービィーが操縦したAT「スコープドッグ」は人気メカで、プラモデルなど、これまで度々、模型化されてきた。

 さらに、模型の世界を超え、造形作家で鍛治師の倉田光吾郎さんが、金属製で1分の1、つまり実物大のスコープドッグを造形作品として製作し発表。美術界でも話題を集めた。

新作は小説、模型化は?

 「4体のATは『装甲騎兵ボトムズ』の高橋良輔監督から、新しい物語を小説にするので、その設定画を描いてほしい、と依頼されたのですが、まだ小説は出版されていませんね」と大河原さんは苦笑した。

 小説が出ないことには新ATのデザインも日の目を見ることがないのは悔しい限りで、アニメ化や新ATの模型化なども望まれるところだ。

 ボトムズが企画されたとき、メカニックデザインを担当することになった大河原さんは、高橋監督とこんな話し合いをしたという。

 「タミヤ(模型メーカー)の35分の1の戦車や装甲車などミリタリーシリーズの模型の横に、一緒に並べても違和感のないロボット兵器を登場させよう」と。

香港で進むAT模型化計画

 「機動戦士ガンダム」でのモビルスーツのデザインは、大河原さんのメカデザインの代名詞のようになっているが、実はATもモビルスーツに負けないぐらいの人気を誇る。アニメの枠も模型の世界も越え、美術界にも影響を与えた大河原デザインの代表的作品のひとつだ。その影響は国内にとどまらない。

 「現在、香港のフィギュアメーカー、THREEZERO(スリーゼロ)と、スコープドッグを模型化する計画を進めています。香港のスタッフはとても熱心で、ハイクオリティーの模型ができる予定です」と大河原さん。近年、アジア各国のアニメ熱の高まりを感じる機会が増えているといい、「とくに台湾や韓国のアニメ製作のクオリティーのレベルは上がっており、近い将来、日本を脅かすかもしれませんね」と語った。

 大河原さんが語った新型ATのデザインは一部公開されているのみで、まだ未発表。会場に並ぶATの傑作、スコープドッグの設定画やポスター原画などから、その進化形を想像してみるのもまた一興だ。  

=つづく

 「メカニックデザイナー 大河原邦男展」は滋賀県守山市の佐川美術館で6月16日まで開催。

展覧会のために大河原さんが特別に描いた長大な屏風絵。ガンダムやヤッターワンなど代表作と仲良く並んだ=滋賀県守口市の佐川美術館
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展覧会のために大河原さんが特別に描いた長大な屏風絵。ガンダムやヤッターワンなど代表作と仲良く並んだ=滋賀県守口市の佐川美術館フルスクリーンで見る 閉じる
「太陽の牙ダグラム」のコンバットアーマーの原画。このデザインがATへつながっていく=滋賀県守山市の佐川美術館
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「太陽の牙ダグラム」のコンバットアーマーの原画。このデザインがATへつながっていく=滋賀県守山市の佐川美術館フルスクリーンで見る 閉じる
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