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【岩田由記夫の音楽の明日】フランク・シナトラ没後20年 シナトラの友人、ウィリー・ネルソンがオマージュ・アルバムで「マイ・ウェイ」熱唱

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【岩田由記夫の音楽の明日】
フランク・シナトラ没後20年 シナトラの友人、ウィリー・ネルソンがオマージュ・アルバムで「マイ・ウェイ」熱唱

ウィリー・ネルソン(AP) ウィリー・ネルソン(AP)

 フランク・シナトラが、この世を去って今年で20年になる。ボブ・ディランは2015年発表の「シャドウズ・イン・ザ・ナイト」で、シナトラのカバーを並べて世間を驚かせた。卓越した歌詞でノーベル文学賞まで受けたディランにとっても、シナトラの曲、歌詞は充分に芸術的好奇心を満たすものだったのだろう。

 ここにまたシナトラへのオマージュ・アルバムがリリースされようとしている。今年85歳の米シンガー・ソングライター、ウィリー・ネルソンが日本では9月26日に発売する「マイ・ウェイ」だ。ネルソンは、かつてはカントリー・ミュージックの改革者と呼ばれ、その音楽はレッドネック・ロックと命名された。米南西部で農業に従事する白人が、腰をかがめて作業するために首の後ろ側が陽(ひ)に灼(や)ける。それをレッドネックといい、レッドネック・ロックは農業労働者の新しい応援歌として生まれ、やがて全米で支持された。

 その後、ネルソンはさまざまな音楽を演奏した。1978年には、現代アーティストとしては当時初めてアメリカン・スタンダードを取り上げた「スターダスト」を大ヒットさせた。カントリー・ロックだけでなく、スタンダード・シンガーとしての力量も認められたのだ。

 ネルソンとシナトラは親しい友人だった。80年代にはネルソンの公演の前座をシナトラが引き受けたり、NASA(米航空宇宙局)の公共広告に2人で登場したこともあった。シナトラ没後20年、自身も人生の終わりに近づいたネルソンが、シナトラ作品をカバーするのは墓碑銘を刻むような自然な流れなのだろう。

 タイトル曲「マイ・ウェイ」ではシナトラのようにドラマチックに歌い上げるのではなく、枯れた淡々とした歌唱スタイルを取っている。押さえた熱唱と呼べるこのボーカルには、ネルソンの年輪を感じさせる。(音楽評論家・岩田由記夫)=毎月第3金曜掲載

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