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【鑑賞眼】竹生企画「火星の二人」 竹中直人×生瀬勝久…宇宙的視点で因縁を謎解き

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【鑑賞眼】
竹生企画「火星の二人」 竹中直人×生瀬勝久…宇宙的視点で因縁を謎解き

朝尾(竹中直人、左)の家に志波と名乗る男(生瀬勝久)が訪ねてくる (桜井隆幸撮影) 朝尾(竹中直人、左)の家に志波と名乗る男(生瀬勝久)が訪ねてくる (桜井隆幸撮影)

 竹中直人と生瀬勝久が一緒に芝居をしようと立ち上げた「竹生(たけなま)企画」の第3弾で、倉持裕の作・演出。ジェットコースターの落下事故で奇跡的に助かったが廃人同様になった大学教授・朝尾(竹中)と謎の男・志波(生瀬)が繰り広げる物語だ。ミステリー風に進みながら、ちぐはぐと脱線する会話が笑える。最近の倉持はこなれた娯楽作を提供し練熟した手腕が冴(さ)える。

 2018年春。天文学を教える朝尾は事故から1年ほど休職中。事故の様子を聞きに来た志波は同じ事故の生還者とわかる。事故以来、朝尾の息子(池岡亮介)も人が変わり、元恋人(上白石萌音)や朝尾の妻(高橋ひとみ)は困惑。朝尾と同乗していて死亡した女学生の親戚を名乗る男(前野朋哉)が突然現れる。

 志波はある秘密を抱えていて、朝尾との因縁が明らかになっていく謎解きが面白い。今夏に火星が地球に大接近する話題がSF的だが、身辺の出来事を相対的に見る宇宙的視点を持たせ、当事者間のギスギスを解消していく。リアルな演劇に見えても流れに飛躍があり、そのずれが異化効果を出す。人間の生き死に、人間同士の絆とは何なのかをやんわりと考えさせる。

 シャイな感じの竹中は打たれ役で、生瀬がどかどかと踏みこむ。火星が持つ“星回り”の影響下にある2人の攻防がスリリングだ。女優、歌手などマルチに活躍する上白石がずけずけと物を言う役で、舞台に弾みと新風を与えていて好演。

 25日まで、東京都千代田区のシアタークリエ。(演劇評論家 河野孝)

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