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【鑑賞眼】オチでほっこり、文菊の「心眼」 国立演芸場「花形演芸会」

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【鑑賞眼】
オチでほっこり、文菊の「心眼」 国立演芸場「花形演芸会」

国立演芸場の花形演芸会で落語「心眼」を口演する古今亭文菊(宮崎瑞穂撮影) 国立演芸場の花形演芸会で落語「心眼」を口演する古今亭文菊(宮崎瑞穂撮影)

 落語のマクラでよく使われるフレーズに「落語はただばかばかしいだけ。人生に何の役にも立ちません」というのがある。確かにその通り。ただし例外はある。そう思わせたのは、若手芸人が芸を競い、毎月開かれている花形演芸会のトリ、若手真打ちの古今亭文菊が披露した「心眼」。盲目の梅喜(ばいき)は、実の弟から「穀潰し」と罵(ののし)られ、悔し涙にくれる。女房のお竹の勧めで目に御利益のある仏様に祈願、目が見えるようになるのだが…。

 おめでたい噺(はなし)と思いきや、売れっ子芸者が自分に惚(ぼ)れていることを梅喜が知り、有頂天になるあたりから雲行きが怪しくなる。登場人物も場面転換も多いネタを、メリハリのあるしぐさと表情で噺に引き込んでいく文菊の口調がいい。

 はらはらさせられる展開は、実は見えるようになったのは夢だったというオチ。梅喜のせりふ「妙なもんだ。寝ている間はよくものが見える」に、目は見えなくとも、人として大切なものを失わなかった安堵(あんど)が込められていたように思えた。落語らしからぬ教訓のにおいがする噺だが嫌みはない。かつて「このオチは純文学」と評されたのもうなずける。

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