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【鑑賞眼】ラトル指揮ベルリン・フィル、最後の来日公演 とてつもない妙技に酔う

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【鑑賞眼】
ラトル指揮ベルリン・フィル、最後の来日公演 とてつもない妙技に酔う

ベルリン・フィルを指揮するラトル。右のコンサートマスターは樫本大進(C)堀田力丸 ベルリン・フィルを指揮するラトル。右のコンサートマスターは樫本大進(C)堀田力丸

 サイモン・ラトルが首席指揮者・芸術監督としてベルリン・フィルを率いての来日公演は、これが最後。

 1曲目、ストラビンスキー「ペトルーシュカ」は、圧倒的な強さ、大きさ、豊穣(ほうじょう)さの中から、名手たちによる怪物級のソロ、そしてアンサンブルの緻密さがくっきり浮き上がる。

 休憩後はベルリン・フィルが委嘱した新作、陳銀淑(チン・ウンスク)の「コロス・コルドン」。点状の音がぶつかり合い、カオスを築いたあと、線状へと変化する。最後の一続きの旋律には始まりも終わりもない。東洋的な宇宙観だ。こうした現代曲もスーパー・ビルトゥオーゾ(超一流の演奏家)軍団の手にかかると、至極贅沢(ぜいたく)な響きで耳を楽しませる。

 最後のラフマニノフの交響曲第3番では作品の姿をシャープに浮き彫りにし、エレガントに歌う。英国近代の交響曲を思わせる自由な構成感をラトルは前面に出す。その楽想がさまざまに入り乱れる様は、彼が得意にするマーラーの作品にも共通しよう。シニカルさや粘り気を取り除き、ロシア情緒も随所ににじませた、すがすがしいまでに健康志向のマーラーといえばいいか。

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