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【話の肖像画】音楽プロデューサー・高嶋弘之(1) 会心の命名だった「抱きしめたい」

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【話の肖像画】
音楽プロデューサー・高嶋弘之(1) 会心の命名だった「抱きしめたい」

高嶋弘之氏(寺河内美奈撮影) 高嶋弘之氏(寺河内美奈撮影)

 〈レコード会社の洋楽ディレクターの重要な仕事の一つは日本語のタイトルをつけること。「抱きしめたい」「恋する二人」「涙の乗車券」「ノルウェーの森」など、ビートルズのほぼすべての邦題は高嶋が考えて命名している〉

 「抱きしめたい」は会心の出来だったと思いますよ。今みたいに、公衆の面前でカップルがイチャイチャするような時代じゃない。「男女7歳にして席を同じゅうせず」で育った世代に、このタイトルはすごいインパクトがありました。「ノルウェーの森」は“ノルウェー製の家具”を誤訳したんじゃないか、と言われましたが、まぁ、いろんな解釈がある。仮に“家具”が正しいと分かっていたとしても、そんな邦題はつけなかったでしょうけど。

 〈満を持して日本デビューさせたビートルズ。だが、最初から人気が爆発したわけではない。高嶋はアノ手コノ手で“仕掛け”にかかった〉

 ビートルズ・カットにルック。レコードの売り上げ枚数の“かさ上げ”、高校生を使った放送局への電話・はがきリクエスト作戦、高名な評論家をおだてたり、おどしたり…時には反則スレスレの際どいことまでやりました。売れるには、もちろん「作品がいい」ことが一番。それをマス(大衆)にどう伝えて広げてゆくか。それこそが、僕の腕の見せどころなんですからね。(聞き手 喜多由浩)

 【プロフィル】高嶋弘之(たかしま・ひろゆき) 昭和9年、神戸市出身。早稲田大卒。レコード会社・東芝音工(後に東芝EMIなど)のディレクターとして、ビートルズの日本売り出しに尽力したのをはじめ、洋楽・和製ポップスなどジャンルを超えて多くのアーティストを世に送り出した。現在、高嶋音楽事務所社長として、1966カルテット、山田姉妹らをプロデュース。バイオリニストの高嶋ちさ子は娘、俳優の高島忠夫は兄、その子である高嶋政宏・政伸兄弟はおいにあたる。著書に「『ビートルズ!』をつくった男」など。

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