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【谷賢一の演劇地獄道(18)】意義あること応援団100人

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【谷賢一の演劇地獄道(18)】
意義あること応援団100人

6月に福島で田植え。稲と同時に実ったのはクラウドファンディングで手を貸してくれた100人の応援だ 6月に福島で田植え。稲と同時に実ったのはクラウドファンディングで手を貸してくれた100人の応援だ

 自虐とはユーモアの一種であり、言えてるうちは安泰だ。「私ブスだから」と言う女性は大抵そんなことはなく、本物のブスは沈黙したまま世界を恨む。この連載もさまざまな経緯があって新聞社から提案され、面白がった私が応諾したため「演劇地獄道」と名がついたが、最近マジで地獄めいてきてつらい。ユーモアが効かなくなってきた。

 何がつらいって、演劇はビジネスなのだ。売らねばならぬ。売れねばならぬ。自由競争を勝ち続けねばならぬ。毎年5本も6本も「売らねばならぬ」と考えながら新作を作り続けるのは大変つらい。だんだんマジで地獄めいてきた。

 8月に久々に心療内科にかかって抗鬱剤をもらってきた。薬のおかげで今は大変元気なのだが、そもそも薬をもらうほど働いちゃいけない。しかし嗚呼石川啄木、はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活楽にならざりぢっと手を見る、妻子を養う収入を演劇で稼ぎ続けるのはやはり地獄道である。

 そんな中、昨年から一つ「売らねばならぬ」とは違う活動を続けてきた。わが故郷・福島県を題材に、過去半世紀の政治・経済と原発の歴史を3部作で描き出そうという福島・演劇プロジェクトだ。すでに過去2回・累計1カ月ほど福島を取材して回った。その間私は無収入だが、幸いなことにセゾン文化財団の助成により宿代と交通費は賄えた。

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