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【鑑賞眼】「アパッチ族」を描く、熱烈でやがて悲しき群像劇 日本劇団協議会「SCRAP」

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【鑑賞眼】
「アパッチ族」を描く、熱烈でやがて悲しき群像劇 日本劇団協議会「SCRAP」

アパッチ族の面々は、月を見上げながら、韓国から日本に逃げてきた経緯を話し出す アパッチ族の面々は、月を見上げながら、韓国から日本に逃げてきた経緯を話し出す

 戦後、大阪砲兵工廠(こうしょう)跡で鉄くずを盗んで日々の糧とした「アパッチ族」を描く。熱烈でやがて悲しき群像劇だ。「温泉ドラゴン」のシライケイタ作、「チョコレートケーキ」の日澤雄介演出。

 1959年、日本人ヒノマル(西條義将)は、在日朝鮮人のアパッチ族に加わり、警察の目を盗んで盗掘を働く。朝鮮人はみな済州島出身者で、四・三事件によって家族を失ったり、生き別れになったりした人々だった。

 客席に間近な舞台が濃密。夕餉(ゆうげ)ではホルモン焼きの香ばしい匂いと煙が充満し、彼らの家族同然の絆と活力を体感させる。危険を冒しての盗掘シーンは、闇に怒号が交錯し、ピンと緊迫感が張り詰める。五感に訴える臨場感ある演出だ。一方、済州島に子を置いてきたパイコ(月船さらら)と行商人ハル(清水直子)の会話など、女たちの哀愁もつづる。「動」と「静」の落差が鮮烈だ。とりわけ、言葉を失ったイップニ(佐原由美)がかすかに発語する場の劇的転換には戦慄を覚えた。

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