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【広角レンズ】漫画、電子書籍の存在感向上 アプリ発の話題作も 単行本の売り上げ逆転?!

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【広角レンズ】
漫画、電子書籍の存在感向上 アプリ発の話題作も 単行本の売り上げ逆転?!

「ReLIFE」145話から。スマホの画面で読むのに特化した、縦長のコマ割が特徴的だ(C)夜宵草/comico 「ReLIFE」145話から。スマホの画面で読むのに特化した、縦長のコマ割が特徴的だ(C)夜宵草/comico

 漫画業界において、電子書籍の存在感が急速に高まっている。売り上げは年々増え続け、単行本に限れば今年中にも紙と電子版の売り上げが逆転する可能性もあるという。一方で、スマートフォンで新作漫画や懐かしの名作漫画などを読める「漫画アプリ」も若者を中心に人気を集め、独自のヒット作も生まれている。(本間英士)

                   

 出版科学研究所によると、紙と電子版を合わせた昨年の漫画市場全体の推定販売金額は4454億円。このうち、紙媒体が前年比9・3%減の2963億円と落ち込んだのに対し、電子書籍は同27・5%増の1491億円と大幅に増え、全体の3分の1を占めている。

 増加は特に電子書籍の売り上げの9割以上を占める単行本で顕著で、今年は「紙と電子の単行本の市場規模が逆転する可能性がある」(同研究所)という。

◆出版社側も後押し

 拡大を続ける電子書籍。出版社側も、普及を促進する取り組みを進めている。

 講談社は5月、新サービス「じぶん書店」を開始した。一般ユーザーがインターネット上に自分の「電子書店」を開き、おすすめの電子書籍をレビュー形式の“口コミ”で紹介するサービスだ。小説や写真集などジャンルは問わないが、漫画の占める割合は高い。現在、約5千の「書店」があり、「書店員 島耕作」を開設した弘兼憲史ら人気漫画家も参加している。

 場所や時間を気にせず作品を購入し、読める便利さが特徴の電子書籍。だが、課題もある。本棚が並び、さまざまな種類の本を見つけやすい現実の書店と異なり、電子書籍の売り上げは各販売サイトのトップページに表示されるかどうかが成否の鍵を握る。講談社のデジタル事業に携わる吉村浩販売局次長は「いかに読者に認知してもらえるかが勝負。口コミへの期待は大きい」と語る。

 近年は、デジタル発の漫画がヒットし、その結果、紙媒体の単行本も売れる-という現象が増えているという。吉村局次長は「紙と電子書籍には相乗効果がある。決して対立軸で語るものではない」と話す。

◆新たな才能が開花

 スマホの普及に伴い、主に若者の間で存在感を高めているのが漫画アプリだ。

 集英社では、少年ジャンプ編集部が平成26年に始めた「少年ジャンプ+(プラス)」が支持を広げている。毎週の利用者は180万~200万人。約40の独自作品を連載し、『キン肉マン』など過去の人気作も読める。アプリ発の漫画の特徴は、話題作の人気が口コミで広がりやすいこと。プラスからはすでに、『ファイアパンチ』などのヒット作も生まれている。細野修平副編集長は「このアプリから『ワンピース』を超える作品を出したい」と意気込む。

 従来の大手出版社とは異なる新興勢力も台頭している。25年にサービスを開始した「comico(コミコ)」は、約8千の漫画をそろえる。公式契約を結んだプロの作品に加え、一般投稿作品も多い。現在の国内ダウンロード数は1400万を超えている。

 comicoの漫画の特徴は「コマ割」にある。紙の漫画とは異なり、スマホの画面を下にスクロールさせることで話が展開するため、「超縦長」のコマ割となっている。編集チームの紺野開之(はるゆき)さんは「心がけているのはスマホで読みやすい漫画作り。空白で『間』を表現するなど、ページ数の限られた紙媒体ではできない独自の試みもできる」とメリットを語る。現在は音楽や動画、振動などを組み合わせた「動く漫画」も制作中だという。

 連載中の人気作『ReLIFE(リライフ)』(夜宵草(やよいそう)・作)は単行本化され、累計150万部を売り上げるなど、漫画アプリからは新たな才能が続々と開花している。comico事業本部の中路唯史さんは「紙の雑誌が苦戦する中で、漫画家が作品を発表する場が減っている。この状況を改善するとともに、読者が漫画に触れるきっかけを増やせれば」と話している。

                   

【用語解説】漫画アプリ

 スマートフォンやタブレットで漫画を読めるサービス。1話ずつ読み進める形式で、週1回などのペースで最新話が配信される。基本的に無料で、一部の話は有料というケースが多い。過去の人気作から新作まで幅広くそろえ、ジャンルも多様。主なサービスに、「マンガワン」(小学館)、「LINEマンガ」(LINE)、「マンガボックス」(DeNA)などがある。

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