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【鑑賞眼】シス・カンパニー「黒塚家の娘」 異界生み出す「現代能楽集」

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【鑑賞眼】
シス・カンパニー「黒塚家の娘」 異界生み出す「現代能楽集」

 「現代能楽集」と銘打っていい出来栄えだ。劇作家、北村想とシス・カンパニーが名作文学を基に新たに創造するシリーズ「日本文学シアター」第4弾は、奥州安達ケ原(あだちがはら)の鬼婆が登場する能「黒塚」を、若い牧師を主人公とした現代の情景に移し替えた。演出は前3作に続く寺十吾(じつなし・さとる)で、能の幽玄さ、狂言的な軽さと深遠な宗教論が融合した“異界”を生み出している。

 牧師の小洋手(こようて)=風間俊介=は失恋し傷心の旅に出た。森でさまよい、黒塚烏鷺(うろ、渡辺えり)と華南(かな)=趣里(しゅり)=という謎の母娘が暮らす館に一夜の宿を求めた。禁忌の部屋をのぞくと髑髏(どくろ)が山積、黒塚家の花婿となった男の末路と知る。危機感を覚える小洋手の元に、彼の後を追ってきた盲目の先輩牧師、馬浜(ばはま)=高橋克実=が悪魔払いのエクソシストのように現れる。

 劇作家のさめた世界観が反映、ホラー話を換骨奪胎した展開はコミカルだ。芸達者な渡辺や高橋の掛け合いが面白く、奇怪さが際立つ渡辺に迫力。風間は、渡辺の過剰な突っ込みにも飄々(ひょうひょう)とした受け応えでバランスをとる。三枚目的空気を作り出し、演技がさえる。趣里は役柄をしなやかに演じ神秘性も出す。

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