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【追悼】日下武史さん 「四季」ひと筋の芝居人生 劇評家・石井啓夫

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【追悼】
日下武史さん 「四季」ひと筋の芝居人生 劇評家・石井啓夫

舞台「鹿鳴館」に影山悠敏伯爵役で出演する日下武史さん=平成21年(上原タカシ撮影) 舞台「鹿鳴館」に影山悠敏伯爵役で出演する日下武史さん=平成21年(上原タカシ撮影)

 日下武史さんは、とてもシャイな人だった。おしゃれな人だった。粋を誇るのでなく、さりげない服装センスに清潔な気品がにおっていた。目玉がぎょろっとして一瞬怖いが、ニコッと笑い掛けられると気持ちが安らいだ。

 「僕はね、役者には向かないと思っていた。人前に出るのが嫌いで、若いときから引っ込み思案。引く人生の方が楽と思っていた」。俳優業について尋ねると決まってそう答えた。そこには常におごりを戒める日下さん流のシャイなダンディズムが表れていた。

 昭和28年、慶応大の同窓の浅利慶太さんらと劇団四季を結成。以来64年、四季ひと筋の俳優人生をまっとうした。29年の旗揚げ公演「アルデールまたは聖女」で初舞台。「そのとき演じた伯爵役がね、女房に浮気されているのに浮気相手の若い男と付き合うひと筋縄ではゆかない役でした」。演技派・日下さんの原点だ。

 日下さんならではの役々は、四季のせりふ劇レパートリーとして上演が繰り返されている。「ひかりごけ」の船長、「エクウス」のダイサート、「ヴェニスの商人」のシャイロック、「思い出を売る男」のこじき、「鹿鳴館」の影山伯爵など。珍しいミュージカル作品でも「赤毛のアン」のマシューや「美女と野獣」のモリースなどがある。

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