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【佐藤しのぶのポコ ア ポコ~ゆっくりいこう~】自然にかえる、永遠なれ高原音楽堂

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【佐藤しのぶのポコ ア ポコ~ゆっくりいこう~】
自然にかえる、永遠なれ高原音楽堂

 桜花爛漫(らんまん)。ただひたむきに花は咲く。

 時が満ちれば花開き、やがて静かに散ってゆく。ただそれだけの花だから、人は思わず心奪われる。

 無為自然。老子の言葉を思い出す。何ら作為せず、あるがままの状態で生きよ、作為なく無言で行われることこそがこの世でもっとも美しいのだと。

 昭和63年夏、標高約1500メートル。「八ヶ岳高原音楽堂」が旧ソ連出身の世界的なピアニスト、スビャトスラフ・リヒテル氏と作曲家、武満徹氏をアドバイザーに迎えて誕生した。

 あえて自然の散歩道を通って音楽会場に入る。落葉松やツガなどを用いた木造のホールで生の美しい響きが堪能できる。客席からは、舞台上のガラス越しに美しい四季折々の風景が楽しめる。大自然と芸術のハーモニーを実現させた音楽堂だ。

 山紫水明。4月15日、私はこの音楽堂で歌い始めた。古今東西、芸術は常に自然の中から、または自然と一体となって創造されてきたと知りながら都会生まれで都会育ちの私は、なかなかその素晴らしさを体験する機会がなかった。

 その後、アメリカの夏のフェスティバルや欧州の野外コンサートなどに出演し、日本でも自然の中で違和感なく演奏ができるようになった。同時に、自然が人間や芸術にもたらす影響の大きさに改めて衝撃を受けた。

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