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【鑑賞眼】青年座「わが兄の弟」 内に熱情、人生への悲しみ宿す

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【鑑賞眼】
青年座「わが兄の弟」 内に熱情、人生への悲しみ宿す

モスクワのホテルでアントン(横堀悦夫、左)とニーナ(安藤瞳)は一夜を過ごす(坂本正郁撮影) モスクワのホテルでアントン(横堀悦夫、左)とニーナ(安藤瞳)は一夜を過ごす(坂本正郁撮影)

 ロシアの劇作家、チェーホフの贋作(がんさく)評伝劇。帝政下の社会的矛盾を受けて生活する、若きチェーホフの人物像を大胆な想像力で描く。マキノノゾミ作、宮田慶子演出という定評あるコンビが手がける5作目は、チェーホフの創造の原点にある無垢(むく)なる魂に迫る。

 1880年、アントン・チェーホフ(横堀悦夫)は20歳の誕生日の翌日、モスクワの安ホテルで目を覚ました。絵のモデルをしているニーナ(安藤瞳)と泊まったのだが、アントンは幸せ感いっぱいだ。アントンはニーナを忘れられず、最果ての地まで影を追い求めることになる。

 医師になりながら小説を書き一家の生計を支える三男アントンが、画家の次兄(大家仁志)、妹(野々村のん)らに傾ける家族愛が物語のベースにある。その家族をマキノは後の四大戯曲を匂わせる劇世界にほうり込む。例えば「三人姉妹」の3姉妹や、「桜の園」の老従僕を連想させる人々が登場。ニーナも「かもめ」のニーナのように薄幸だ。

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