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【花形出番です】「江戸の空気」伝える劇団 歌舞伎俳優・坂東亀寿さん(38)(3)

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【花形出番です】
「江戸の空気」伝える劇団 歌舞伎俳優・坂東亀寿さん(38)(3)

歌舞伎俳優・坂東亀寿さん(福島範和撮影) 歌舞伎俳優・坂東亀寿さん(福島範和撮影)

 私と兄(坂東亀三郎)は菊五郎劇団育ち。5月の襲名披露にも、音羽屋のお兄さん(尾上菊五郎)以下、劇団総出演の中、襲名させていただけて、ありがたいことです。

 劇団の人々は、家族のようなもの。子役時代、遊んでくれた先輩が“先生”となり、歌舞伎の決まり事を教えてくださいます。「世話物」と呼ばれる江戸の町人を描く芝居には、鳶(とび)や髪結(かみゆい)など独特の文化を持った人々も登場します。鳶口(とびぐち)など小道具の扱い一つ取っても、分からないことだらけ。劇団だからこそ古いお弟子さんが何が正しいのかを伝えてくださるんです。

 それがどれほど貴重なことなのかに気づいたのは、22~23歳のときです。それまでは「怖い先輩ばかり」と思うこともありましたが、先輩方の教えの積み重ねによって、歌舞伎に江戸が生きている。

 平成20年の巡業で、劇団が大事にしている「魚屋宗五郎」の三吉を、初役で演じました。宗五郎を勤めたのは亡くなった坂東三津五郎さん。毎公演後、千秋楽まで違う内容のご注意をいただきました。当時は追い込まれましたが、私の技量を考え、段階を踏んで教えてくださったんだと今なら分かります。4カ月後、国立劇場で尾上松緑さん演じる宗五郎で、同じ三吉を勤めました。三津五郎のお兄さんもごらんになり、終演後、「大丈夫」とわざわざ言いに来てくださった。安堵(あんど)するとともに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 劇団には音楽部もあり、みなが同じ方向を向いて芝居を作っています。そのチームワークが生きる世話物は、独特の江戸の空気感があると思います。(談)

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