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【鑑賞眼】歌舞伎座「三月大歌舞伎」 素晴らしい仁左衛門の知盛

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【鑑賞眼】
歌舞伎座「三月大歌舞伎」 素晴らしい仁左衛門の知盛

 昼。「義経千本桜 渡海屋(とかいや)・大物浦(だいもつのうら)」の片岡仁左衛門が素晴らしい。渡海屋銀平の花道の出。美しく涼しく、早春の白梅のよう。寒気を貫く気品が辺りに薫る。一転、銀平実は平知盛の修羅の形相のすさまじさ。義経(中村梅玉(ばいぎょく))に守護された幼き安徳帝から「仇(あだ)に思うな」と諭(さと)され平伏する姿に平家滅亡の道理を悟る。「昨日の敵は今日の味方」と感謝するせりふの潔さに特色がある。続く碇(いかり)知盛の最期も、残酷、悲惨なのが「人」ではなく「時」なのだと教える。明解な知盛像である。仁左衛門型と呼べるのではないか。銀平女房お柳実は典侍(すけ)の局に中村時蔵。

 前に真山青果の新歌舞伎「明君行状記」。武家社会の法理を追究し合う藩主(梅玉)と藩士(坂東亀三郎)のせりふ劇。後に坂東三津五郎家所縁の常磐津舞踊「どんつく」を、十代目三津五郎三回忌追善として十代目の長男、巳之助が、尾上(おのえ)菊五郎以下好配役を得てにぎやかに軽やかに踊りしのぶ。

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