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【鑑賞眼】感慨深い勘三郎へのオマージュ NODA・MAP「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」

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【鑑賞眼】
感慨深い勘三郎へのオマージュ NODA・MAP「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」

前列左から佐藤隆太、妻夫木聡、宮沢りえ(篠山紀信撮影) 前列左から佐藤隆太、妻夫木聡、宮沢りえ(篠山紀信撮影)

 □NODA・MAP「足跡姫(あしあとひめ) 時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)」

 野田秀樹作・演出の新作。歌舞伎の始祖である出雲阿国(いずものおくに)の子孫・三、四代目阿国の一座に、将軍暗殺を企てる由井正雪の乱を絡ませ、無比の物語へと誘う。

 阿国(宮沢りえ)の一座はストリップまがいの出し物で人気を博していたが、彼女を「衝(つ)き動かすもの」を表現すべく、弟のサルワカ(妻夫木聡)に歌舞伎の筋を書かせる。その劇中劇「足跡姫」で、由井正雪事件の虚実が反転する。

 野田お得意の言葉遊びを媒介に、ドラマに転調を呼び込む。正雪の生き霊が幽霊小説家(古田新太)となり、サルワカのゴーストライターを務める。それが劇中劇に波乱をもたらす。つまり、死者が動かす物語なのであり、阿国に憑(つ)く幽霊の足跡姫は「衝き動かすもの」の形象化だ。その背景に虐げられた庶民の姿がある。

 これは一つの芝居論でもある。始祖から下っての退廃と改革、書き割りと偽物、亜流とパトロン、反復とズレ、起死回生のどんでん返しなどなど。さらに終盤、穴掘りが好きなサルワカが目指す「この世で一番遠い所」の伏線がきれいに回収される。

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