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【話の肖像画】タレント・萩本欽一(8)東京五輪ではアドリブが見たい

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【話の肖像画】
タレント・萩本欽一(8)東京五輪ではアドリブが見たい

長野冬季五輪の閉会式で司会を務める萩本欽一=平成10年 長野冬季五輪の閉会式で司会を務める萩本欽一=平成10年

 〈平成10年に長野冬季五輪の閉会式で司会を務めた。シルクハットにえんび服という派手なコスチュームで会場の雰囲気を和らげた。それまではアドリブを“武器”にコントや司会に奔走してきたが、このときに求められたのは台本通りにやることだったという〉

 僕が一番苦手なのは台本通りのせりふを言うことなんです。それなのに長野冬季五輪では、せりふだけでなく、秒数までが台本で決められていました。

 それでも一言だけアドリブを入れたんですよ。最後に「選手の皆さんから多くの感激をいただきました。ありがとうございました」という内容の僕のせりふが台本にあったの。でも、僕だけではなくて、会場に来ているみんなも感謝しているんじゃないの、とふと感じた。その瞬間に、アドリブで「僕だけでなく皆さんも選手たちに『ありがとう』と言いたかったのではないでしょうか。みんなで言おうか?」というような発言をしたんです。それから会場のみんなで一緒に、精いっぱい「ありがとう」と叫んだんだ。その声は会場中に響き渡りました。

 ああ、なんて気持ちがいいんだろう。そう感じた瞬間だったね。世界中に感謝の気持ちが伝わったと思う。これぐらいなら許されるだろうと思い、ついアドリブを入れちゃったんだけれども、それがすごく良かった。こっちの方が自分が気持ち良くできるよな、と思うと自分の行動を止められないのよね。

 閉会式の前には台本通りの仕事をすることにプレッシャーを感じていました。マネジャーに「僕は失敗する」と宣言していた。失敗したら、どこかに逃げてしまおう、と思っていた。だから五輪後の仕事も入れないようにしてもらっていました。「欽ちゃん物語」の最終章は「ダメなやつほど最後もダメだった」。そんな感じで締めくくるのかな、と感じていたの。

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