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【鑑賞眼】「オーファンズ」 いとおしい人とのつながり

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【鑑賞眼】
「オーファンズ」 いとおしい人とのつながり

左から平埜生成、高橋和也、柳下大 (神ノ川智早撮影) 左から平埜生成、高橋和也、柳下大 (神ノ川智早撮影)

 孤児の兄弟と中年男が、奇妙な共同生活を送る中で生まれた絆と悲劇を描く三人芝居。米劇作家、ライル・ケスラー作で1983年に米国で初演。ブロードウェーや英ウエストエンドほか各国で上演、映画化もされた作品で、日本でもたびたび上演されている。今回は谷賢一の新訳で、キレの良い現代言葉に生まれ変わった。演出は宮田慶子。

 孤児の兄弟、トリート(柳下大)とフィリップ(平埜生成)は米フィラデルフィアで暮らす。トリートは盗みで生計を立て、怪しげな仕事をするハロルド(高橋和也)と出会い、金目当てに家に監禁する。自分も孤児だったハロルドは兄弟に生きる道を教え、3人は共同生活を送るようになる。

 戯曲の冒頭では、ヘレン・ケラーの、サリバン先生との出会いがすべての始まりだったとする言葉を紹介、兄弟とハロルドの関係を暗示する。誰も信じられず、頼れず、愛する人もない兄弟の姿をハロルドは過去の自分に重ね、ニューヨークにいたとされる少年ギャング「デッドエンド・キッズ」にもなぞらえる。そこには、現代社会に生きるわれわれの孤独も投影される。

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