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【鑑賞眼】鋭い時代認識、役者の演技も熱く 虚構の劇団「ホーボーズ・ソング~スナフキンの手紙NEO」

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【鑑賞眼】
鋭い時代認識、役者の演技も熱く 虚構の劇団「ホーボーズ・ソング~スナフキンの手紙NEO」

 内戦に陥った近未来の日本をスピーディーに描く。作・演出の鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)が劇団「第三舞台」で上演した岸田戯曲賞受賞作「スナフキンの手紙」(平成6年)を副題に冠する。同じ内戦を扱っているが、本作では今日的な状況への危機感が色濃く反映されている。

 日本軍と新日本軍(反政府軍)が互いに「テロリスト」「ファシスト」と指弾しながら戦っている。日本軍の美人兵・水沢(森田ひかり)は、非国民を倒すために自爆攻撃する、と会見して注目を集める。天皇の娘・鈴子(りんこ)内親王(小野川晶)が彼女を止めに戦地へ入る。

 だが、水沢は喜劇的な脇役に転じ、物語を脱臼させる。むしろ、恋人同士だった男女(オレノグラフィティ、佃井皆美)が敵味方に分かれた葛藤(かっとう)、そして、鈴子の奔走と女官(小沢道成)の深謀が本筋をなしてゆく。

 「スナフキンの手紙」では、政府軍と無数の少数派集団が戦っており、当時先端だったワープロ通信は少数派の連携に利した。ところが今作では、インターネットが韓国と中国に対する敵視を増幅し、内戦への引き金となる。

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