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土鍋でごはんも焼肉も?!伊賀焼の調理できる機能土鍋を試してみました

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土鍋でごはんも焼肉も?!伊賀焼の調理できる機能土鍋を試してみました

 「土鍋で炊いたごはんはおいしい」と人に聞いてからここ数年は、ごはんを土鍋で炊いています。確かにおいしく炊けるのですが、火加減をするのがちょっと面倒。そして吹きこぼしでコンロのまわりがベタベタになり後の掃除は結構大変です。そんな筆者に、「火加減いらず」「吹きこぼれなし」で「かまどで炊いたごはんの味」が再現できるという夢のような土鍋を試す機会がやってきました。

 その土鍋は、三重の伊賀で天保3年から続く伊賀焼の窯元「長谷園(ながたにえん)」が作るその名も「かまどさん」。今回はさらに「微煙陶炉 やきやきさん」という伊賀焼の卓上陶板グリルも試します。さっそく、東京・恵比寿にある長谷園の東京店「イガモノ」を訪ねました。

東京・恵比寿にある長谷園アンテナショップの店内

 こちらが「かまどさん」です。2000年の発売以来、80万個を売り上げたヒット商品だそうで、一合、二合、三号、五号と4種類あります。見た目は丸くてコロンとした形がかわいい土鍋ですが、試しに三号を持ってみると「重い!」。五号は「筋トレか!!」というぐらい重たい。3合は3.6キロ、5号は5キロもありますが、長谷製陶 営業部の三宮望香木さんいわく「この重さがおいしさの秘密なんです」とのこと。

「かまどさん」にはしゃもじと台座も付いてきます

 重たさを実感したところで、さっそくごはんを炊き始めます。今回使うのは3合用の土鍋。といだ白米3合を水につけて20分ほど置いてから中火よりちょっと強い中強火にかけて12~13分、蒸らし20分で炊き上がります。

 コンロに火をつけたところで「あとは火加減はいりません」と三宮さん。「『はじめチョロチョロ中パッパ…』というごはんを炊くときの火加減をあらわした歌がありますね。かまどさんはこれを自動でやってくれるんです」。

「かまどさん」にはしゃもじと台座も付いてきます

 「かまどさん」は下の断面図を見ての通り、とても分厚い! どうりで重たいわけです。三宮さんの説明によると、これだけ分厚いと始めはなかなか温まらず自動的に「はじめチョロチョロ」の弱火状態になるんだとか。ところが一度沸騰すると、熱をどんどん蓄えて「中パッパ」の強火の状態になり、最後は火を止めても熱を蓄えているためじんわりと蒸らしてくれます。

「かまどさん」の断面。厚いところで3センチほどある

 火にかけて12分ほど経ったところで激しく蒸気を噴き出しました。が、吹きこぼしは土鍋とフタの間にとどまり、鍋の外へは全くこぼれてきません。ふだんは火をかけた土鍋の前で待ち構え、蒸気が噴き出すや否や慌てて弱火に切り替えていたので驚きのシーンでした。ここで火を止めたらあとは20分間蒸らすだけ。

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 土鍋の外へ吹きこぼれがないことに筆者が感動していると三宮さんが、「その吹きこぼしの“おねば”がおいしいところなのにもったいないですね」とポツリ。「かまどさん」は、ふたが二重になっていて(写真下)、中蓋にあふれた“おねば”は土鍋に戻る仕組みになっているそうです。

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 ごはんを蒸らしている間に、陶板の卓上グリル「やきやきさん」でバーベキューの準備を始めます。

 「やきやきさん」は、炉(写真右)に陶板をかぶせたシンプルな構造ながら煙が出にくい画期的なグリル。食材から出る余分な脂が陶板に施した傾斜のある溝を伝って、下の炉の淵に注いだ水に落ちる仕組みです。煙が発生するのは油が熱い鉄板などに触れるためで「やきやきさん」の場合は、脂を水に落としてしまうため煙がほとんど発生しないそうです。

 使い方は簡単。コンロにセットしたら、陶板に4箇所ある穴の一つから水を注いでコンロを点火します。

あとはお肉や野菜など材料を切ったり串に挿したりして、お皿に並べれば準備完了。

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 陶板が温まってきたところで牛肉を乗せてみると、ジュージューとおいしそうな音はするものの、ほとんど煙は上がりません。お肉を焼いているのに部屋の空気がクリーンでなんだか拍子抜けするほど。「コンロの火と陶板の間に炉の高さの分距離があるため、煙が発生する前の温度を保てるということもありますね」と三宮さん。伊賀の土は蓄熱力が高く、陶板の遠赤外線効果もあるので中火で適温を保ちながら調理ができるそうです。

「やきやきさん」で焼いた牛肉は、炭火で焼いたようなふっくらした焼き上がり。余分な脂も流れているのでヘルシーです。

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 長谷園には、「やきやきさん」以外にも土鍋から派生したさまざまな調理土鍋があります。燻製料理が楽しめる燻製土鍋「いぶしぎん」、卓上で干物をあぶったり、魚を焼いたり、おでんを煮たりできる「あぶり名人」など、さまざまな調理ができる土鍋を生み出しています。

「いわゆる鍋料理は寒い時季だけですが、みんなで食を囲む場面で1年中、土鍋を使えるようにと考案しています」と三宮さん。食べること飲むことが大好きで研究熱心な7代目当主の長谷優磁さんが「おいしいものを食卓で囲んでみんなで食べたら世界はよくなる」という思いで、自分が欲しいものを作っているうちに、伊賀焼のいろいろな機能土鍋が生まれたそうです。

長谷園は『食卓は遊びの広場だ』という理念のもと商品開発を進めている

 「かまどさん」のほうは蒸らしから20分、いよいよごはんが炊き上がりました。

内ぶたをあけるとふわーっと湯気とともに真っ白でつやつやの炊き立てごはんが…

[代替テキスト]

 「お米が立ってる」という表現そのままの「かまどさん」で炊いたごはん。「『かまどさん』を買われる方は、お米にこだわる人が多いのですが、私としては安いお米がおいしく炊けるのがありがたい」と三宮さん。火加減いらずで吹きこぼれもなく、かまどで炊いたごはんを再現できる「かまどさん」は、まさに“自動炊飯土鍋”といえそうです。

一方、「やきやきさん」は、じっくりと食材を焼き上げています。遠赤外線で時間をかけて焼きあげるので、お酒を飲みながら焼けるのをゆっくり待てる大人向き。野菜類はやや時間がかかりますが、イライラするほどの遅さではありません。ただ、一刻も早くたくさん食べたいという育ち盛りの男の子には待ちきれないスピードかもしれません。

 食事を作る人と食べる人がキッチンと食卓で分かれることなく、みんなで調理しながら一緒に楽しめるのが「やきやきさん」のよい所。たまには奮発して高級な国産黒毛和牛でも用意して、家族や仲間で焼肉ホームパーティーなんていかがでしょう。また、料理するのが面倒な時には冷蔵庫の残り物を切って焼くだけの即席バーベキューや、おうちで気兼ねのない一人焼肉も楽しそうです。あとは、「かまどさん」の炊き立てごはんとお新香があれば最高のシメになりそうです。

□長谷園

 土鍋のふるさと、伊賀・丸柱で天保3年(1832年)に開窯以来、伊賀焼の伝統と技術を継承してきました。「作り手は真の使い手であれ」の精神で変化するライフスタイルに応じて今に生きる伊賀焼の逸品を送り出しています。伊賀本店には工房・登り窯など陶器製造の施設や展示室・資料館などを備えています。

国の登録有形文化財に登録された「16連房旧登り釜」

□伊賀の土鍋

 伊賀の地は太古の昔、琵琶湖の湖底であったため、その地層から採れる陶土は耐火性が高く、江戸時代より直火の土鍋、行平、土瓶などが作られてきました。伊賀の陶土は炭化した植物を多く含んでいるため、焼成すると孔の多い素地になります。そのため、土鍋本体がしっかりと熱を蓄え、食材の芯まで熱を伝え、旨みの多い料理に仕上げます。また、遠赤外線効果も発揮するため煮る、焼く、蒸す、あぶるなど熱効率のよい調理器具としてプロの料理人に愛されています。

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