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日銀ウォッチャー20人が所信聴取採点 黒田氏の緩和継続姿勢は70点 新副総裁は辛口評価 

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日銀ウォッチャー20人が所信聴取採点 黒田氏の緩和継続姿勢は70点 新副総裁は辛口評価 

 日銀総裁の続投が決まった黒田東彦氏は次の任期で大規模金融緩和を終わらせる「出口戦略」にどう向かうかが課題となる。黒田氏と、副総裁に就任する若田部昌澄氏、雨宮正佳氏の国会所信聴取について、エコノミスト20人に採点してもらった。黒田氏は大規模緩和の継続姿勢を示したことが評価され100点満点中、平均70点。若田部氏は緩和の副作用への視点が欠ける点が不評で65点にとどまった。

 無難な評価を得た黒田氏だが、2日の聴取では、出口について「平成31年度ごろに検討し、議論しているのは間違いない」と明言し長期金利上昇と円高を招いた。「不用意な表現」(JPモルガン証券の鵜飼博史氏)との批判も強く、市場との対話に課題を残した形だ。

 緩和に積極的な「リフレ派」の若田部氏は「金融政策には限界はない」などと強気の発言が目立ち、「副作用や弊害に関する現状認識が不十分」など辛口の評価が寄せられた。一方、日銀理事から昇格する雨宮氏は82点と高評価だった。副作用を認めつつも「出口の手段は持っている」と明言したことが好評で「次期総裁候補としての資質もアピールできた」(第一生命経済研究所の藤代宏一氏)。

 大規模緩和は4月で開始から5年がたつ。実質国内総生産(GDP)は8四半期連続で成長しているが、物価上昇目標2%の達成は見えない。低金利が長引き、銀行の収益悪化や財政規律の緩みなどの副作用への懸念も広がっている。来年10月には消費税増税を控え、景気拡大の原動力だった海外経済も息切れしてくる恐れがある。トランプ米政権が保護主義色を強め通貨安を誘導することも予想される。

 総裁を支える2人の副総裁が果たす役割は重大だ。若田部氏には、景気が下ぶれした場合に議論を活性化させる役割が期待される一方、金融政策に精通した雨宮氏は必要に応じて総裁に意見できる立場でもある。

 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「新体制の課題は政治的な緩和プレッシャーに抗して出口を開始できるかだ」と指摘する。

 政治的な圧力で緩和を続けていけば、一度も金利を引き上げることなく、景気拡大局面が終わりかねないからだ。金融政策運営が難しさを増す中で、黒田日銀は大規模緩和の出口に軟着陸させられるか。新体制の結束力が問われる。(米沢文)

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