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【日本の未来を考える】貿易戦争どう避ける WTOのルール違反も揺さぶるトランプ政権の輸入制限 学習院大教授・伊藤元重 

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【日本の未来を考える】
貿易戦争どう避ける WTOのルール違反も揺さぶるトランプ政権の輸入制限 学習院大教授・伊藤元重 

 トランプ政権による鉄鋼やアルミの輸入制限への動きが世界の通商システムを揺さぶっている。米国は安全保障上の理由から輸入制限を行うと主張しているが、それで鉄鋼やアルミの輸入制限が簡単にできるようなら、なんでも安全保障上の理由で輸入制限できることになる。これは不当な理由での関税引き上げを禁じているWTO(世界貿易機関)のルールに反する行為だ。当然、欧州や中国などは、報復関税を適用すると主張している。「勝手に関税引き上げしたら報復する」という報復関税は、それが関税引き上げへの牽制(けんせい)として働くのなら意味があるが、牽制として働かない中で関税引き上げ合戦につながるようだと、世界の貿易システム全体を壊すようなことにもなりかねない。

 若い頃、関税戦争に関する論文を多く読んだ。各国がお互いに関税を引き上げる誘因を持っており、全ての国が大きな損害を受けるという結果になる。ゲーム理論の用語を使えば「囚人のジレンマ」と呼ばれる現象だ。この関税戦争のメカニズムの特徴は、各国が相手国との協議をすることなく、自己利益を追求した一方的な行動をとった結果から生まれるということだ。双方が歩み寄って協力的な方向を探ることができれば、関税競争は誰の利益にもならないということがわかる。

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