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原発比率7ポイント低下でGDP最大2・7兆円減 平成42年度 再エネ補完で費用増 電中研試算
政府が想定する平成42年度の電源構成のうち、原子力発電の占める比率「20~22%程度」が7ポイント低下すると、実質国内総生産(GDP)が最大約2兆7千億円減少することが4日、電力中央研究所の試算で分かった。低下分を補う再生可能エネルギーなどによる電気料金の上昇が、消費や企業競争力の減退につながるため。原発の再稼働が遅れれば日本経済の打撃になる。
運転期限(原則40年)を迎えた原発の廃炉などで構成比が15%に低下すると仮定。7ポイントを補う電源は、再エネと液化天然ガス(LNG)火力発電の2つのケースで試算した。原発比率を再エネで補うと「固定価格買い取り制度」の費用が拡大。LNGでも燃料の輸入費が膨らみ、いずれも全国の発電コストが増える。
電気料金が上昇することで家計の実質所得が悪化。再エネの場合は1世帯あたり2万2千円減少し、GDPを1兆4千億円下押し。LNGは1万8千円減でGDPを1兆円低下させる。
企業活動への影響も大きい。電気料金の上昇で製造費がかさみ、国際競争力を失うことによる輸出の減少や設備投資の縮小が見込まれ、再エネは計1兆5千億円、LNGは計1兆円のGDPを奪う。
再エネは消費冷え込みによる輸入減少で貿易収支の悪化がやや抑えられるため、GDP減少額は2兆7千億円と試算。一方、LNGは燃料輸入増もあり2兆5千億円とした。浜潟純大主任研究員は「原発比率の低下は日本経済に広範な影響を与えうる」と話した。