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【クローズアップ科学】史上最強「量子暗号」が産業・軍事で実用へ 盗聴不可能、宇宙利用も加速

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【クローズアップ科学】
史上最強「量子暗号」が産業・軍事で実用へ 盗聴不可能、宇宙利用も加速

絶対安全な通信 絶対安全な通信

加速する宇宙利用

 そこでターゲットとなるのが宇宙空間の利用だ。宇宙では何億光年も離れた天体から光が届くように、光子はほとんど減衰しない。例えば日本と米国に人工衛星から同じ鍵を光子で送れば、大陸間でも量子暗号通信が可能になる。

 情報通信機構は昨年8月、超小型衛星「ソクラテス」を使い、地上の1カ所に光子を一粒ずつ送る実験を世界で初めて実施した。安価な超小型衛星を多数打ち上げれば、全世界をカバーする量子暗号通信網を構築できるが、後継機の打ち上げは早くて5年後の見込みで、動きは遅い。

 これに対し中国は昨年8月に実験衛星「墨子号」を打ち上げ、今年6月には約1200キロ離れた地上の2カ所に光子を送ることに成功したと発表。実用化を急いでおり、日本の関係者は「中国は量子暗号通信を高速鉄道に続く国家ブランドに育てようとしている」と警戒を強める。

 衛星による量子暗号通信は航海中の艦隊や飛行中の航空機とのやり取りなど、軍事上の利用価値も高い。米国では国防高等研究計画局(DARPA)や民間などで研究が進み、国家機密に移行した部分もあるとされる。

 日本は民生利用の研究が中心だが、先の大戦で旧日本軍は米国に暗号を解読され、ミッドウェー海戦で致命的な敗北を喫した。防衛省の動きは鈍いが、幹部の1人は「魅力的な技術だ」と関心を示す。

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