産経ニュース

日本貿易保険 農水産業で初めて海外養殖に保険適用 食料の安定確保を後押し

ニュース 経済

記事詳細

更新


日本貿易保険 農水産業で初めて海外養殖に保険適用 食料の安定確保を後押し

 独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が、三菱商事の南米チリにおけるサケの養殖事業について、テロや自然災害などで損失を受けた場合に適用される「海外投資保険」を引き受けることが27日、分かった。同保険は工場や発電所などの工業向けが大半で、農水産業では初の適用となる。水産資源をめぐる規制が世界的に高まる中、NEXIは自然災害に伴うリスクを保険でカバーすることで、日本企業の海外投資を促し、食料の安定確保を後押しする考えだ。

 同保険の適用第1号となるのは、三菱商事が南米チリで行っているサケの養殖事業。2011年に現地の養殖大手を約100億円で買収し、現在は約35カ所の海面養殖場や加工工場などを保有。卵の孵化(ふか)から養殖、加工まで一貫して行い、日本や欧米向けに銀ザケやすしネタに使われるサーモントラウトなどを供給している。

 NEXIは昨年4月、「投資先企業のすべての事業拠点で3カ月以上の事業休止」が条件だった保険の支払いを、事業拠点ごとの損失でも可能とする特約を導入した。これまでに比べ保険請求がしやすくなり、三菱商事が適用第1号となった。

 水産資源をめぐっては、和食ブームや健康志向の高まりで、中国や欧米などの需要が増えている。大手商社は「日本向けの供給が先細りしかねない」として、海外での養殖事業などに注力している。

 一方で、乱獲に伴い天然物の漁獲量が減少したことを受け、他国に割り当てる漁獲枠を削減する動きも世界的に広がりつつある。ロシアは今月、ロシアの排他的経済水域(EEZ)におけるサケ・マスの流し網漁を来年1月から禁止することを決めた。今後、養殖物の需要がさらに高まるとの見方もある。ただ、自然災害などによる損失リスクを考慮し、海外での養殖事業への投資に二の足を踏む企業も少なくない。NEXIは今後、海外投資保険の特約を農林水産分野でも積極的に活用する方針だ。

「ニュース」のランキング