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【主張】大坂全米制覇 劇的な快挙に喝采を送る

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【主張】
大坂全米制覇 劇的な快挙に喝采を送る

 快挙である。盛大な拍手を送りたい。

 テニスの全米オープン女子シングルスで、大阪出身の20歳、大坂なおみが優勝した。四大大会のシングルスで日本勢の優勝は、男女を通じて初めてである。

 しかも決勝の相手が、四大大会23度の優勝を誇り、幼いころから大坂の憧れの存在であり続けたセリーナ・ウィリアムズだったことが、初制覇に彩りを加えた。

 セリーナが大坂を称(たた)え、会場のブーイングをスピーチで黙らせた表彰式は、さながら映画のワンシーンのようだった。

 セリーナに「あなたと全米の決勝を戦うことが夢だった。ありがとう」と感謝する大坂もまた、素敵(すてき)だった。

 女王を相手に堂々と打ち勝ったパワーや、セリーナに対する判定をめぐって騒然とする会場で平常心を失わなかった精神的成長は、今後の大坂の輝かしい未来を予測させる。2年後の東京五輪では一躍、金メダル候補である。

 大坂は、ハイチ出身の父、日本人の母の間に大阪で生まれ、3歳で米国に渡った。祖父母は北海道根室市に在住している。全米制覇の吉報は、台風や地震の被災地となった大阪や北海道のファンにも大いに喜ばれたろう。

 日本語は少し怪しいが、大会後に今最も食べたいものを聞かれると、トンカツ、カツ丼、カツカレー、デザートに抹茶アイスと答えた。素顔は日本の少女である。

 褐色の肌の大坂の快進撃に、日本中の多くのファンが、喝采を送り続けた。

 これは、日本社会の良質な部分を象徴していると思いたい。それが表層的なものであるならば、大坂らの活躍が社会のさらなる変革の契機となってほしい。

 陸上競技の短距離種目では、桐生祥秀や山県亮太らとともに、ケンブリッジ飛鳥、サニブラウン・ハキームといった海外にルーツを持つ日本人選手が五輪代表を目指し、最速を競っている。

 バスケットボールや野球、サッカー、ラグビーなどの球技でも、それは同様であり、いまや当たり前の光景となっている。

 スポーツの世界だけではない。来日外国人を含め、さまざまな国籍、人種の人々が国内に暮らす。それが健全なものである限り、あらゆる差別、偏見から解き放たれる。そんな社会でありたい。

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