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【主張】アフリカ支援 「中国の罠」に警戒強めよ

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【主張】
アフリカ支援 「中国の罠」に警戒強めよ

 「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合で、習近平国家主席が3年で総額600億ドル(約6兆6千億円)のアフリカ支援を表明した。

 習政権の巨大経済圏構想「一帯一路」は、アジアや欧州、中南米、南太平洋など、世界規模で広がり、インド洋からアフリカに延びる。

 天然資源に恵まれ、潜在的な巨大市場でもあるアフリカを、巨額のインフラ投資をテコに囲い込もうという戦略である。

 警戒すべきは、債務返済に窮した国々が中国の政治、軍事的要求をのまされる事態である。支援の背後には勢力圏拡大や拠点構築の狙いがあるのではないか。「債務の罠(わな)」の批判は免れまい。

 中国の支援で、鉄道や道路、港湾の建設に乗り出した国々が過剰債務を抱える問題は、すでにアジアなどで顕在化している。

 中国による返済能力を無視した貸し付けは、債権国としての規律、計画性を著しく欠くものだ。受注した中国企業の工事や運営のずさんさも指摘される。

 経済支援とともに、民主主義や人権などはお構いなしに経済建設に突き進む「中国型」が広がることを懸念する。

 習氏は「一帯一路は経済協力だけでなく、世界の発展モデルや統治システムを改善する重要なルートだ」と述べている。

 インド洋の島国、スリランカの事例を教訓とすべきだろう。中国の支援で港湾施設を建設しながら債務返済に窮し、99年間の運営権貸与を余儀なくされた。

 国内の人権侵害が国際的に問題視されたとき、中国はこれを無視するように接近した。甘い条件で大金を投入する真の狙いは何か。そんな問いかけが必要である。

 中国のフォーラムと同時期に開催された島嶼(とうしょ)国などの「太平洋諸島フォーラム」では、過度な中国依存の危険性が指摘された。「一帯一路」の持つ落とし穴に警戒を強めなければならない。

 日本が目指す支援は、中国とは違い、質が高く、透明性が確保され、持続的な成長に寄与する。

 安倍晋三政権が掲げる法の支配や市場経済を重視する「自由で開かれたインド太平洋戦略」を具現する前提として、そうした理解を広げることが欠かせない。

 「債務の罠」への対処では、同じく「インド太平洋戦略」を掲げる米国との連携も重要である。

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