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【正論】中国との体制間競争を勝ち抜け 防衛大学校教授・神谷万丈

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【正論】
中国との体制間競争を勝ち抜け 防衛大学校教授・神谷万丈

神谷万丈・防衛大教授 神谷万丈・防衛大教授

 魅力ある経済と社会の構築を

 1963年6月26日、西ベルリンを訪れたケネディ米大統領は、30万の聴衆に「私はベルリン市民である」と語りかけた。共産圏に浮かぶ自由主義の孤島となっていた西ベルリンの人々を勇気づけたこの演説は、冷戦史上最も記憶されている瞬間のひとつだ。だが、彼が次のように述べたことを覚えている人はどれだけいるか。「共産主義が未来の波だという者がある。彼らをベルリンに来させよう。…共産主義が邪悪な体制であることは確かだが経済的進歩を可能にするという者さえある。彼らをベルリンに来させよう」

 ケネディは、東西競争の帰趨(きすう)はベルリンに行けば一目瞭然だと言い、それに誰もが納得した。ソ連は、西側の自由と繁栄を東側の目から隠すために、ベルリンの壁を築かなければならなかったのだ。

 だが今日の中国は違う。北京や上海を見た人は、その繁栄に圧倒される。中国の体制は自由でも民主的でもないが、経済的進歩は疑いなく可能にしているのだ。他方、リベラル民主社会の魅力は、トランプ大統領の言動によって徐々に蝕(むしば)まれつつある。

 世界の多くの国が中国を「未来の波」とみなし、手本にしたいと思うようになってしまえば、リベラル国際秩序の将来は暗い。この秩序を守りたいならば、われわれは、経済でも社会の魅力でも、中国との体制間競争には負けられないのだ。(防衛大学校教授・神谷万丈 かみやまたけ)

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