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【正論】40年ぶり「相続法制改正」の意義 麗澤大学教授・八木秀次

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【正論】
40年ぶり「相続法制改正」の意義 麗澤大学教授・八木秀次

麗澤大学の八木秀次教授 麗澤大学の八木秀次教授

 高齢化社会に対応した措置だ

 この点については法案の基をつくり、私も委員として議論に参画した法制審議会民法(相続関係)部会でも異論があった。議論の終盤で複数の委員・幹事から上記の「特別寄与分」について親族だけでなく、内縁・事実婚・同性カップルのパートナーにも対象を広げるべきだという意見が相次いだ。

 これに対し、私は常に多勢に無勢で損な役回りであったが、その都度、「それは婚姻制度とは何かという本質に関わる問題で、ここで議論すると収拾が付かなくなる。それよりも今の法体系の中で報われない配偶者を救済すべきだ」との主張を繰り返した。最後は私の意見が通った形になった。

 昨今のLGBT(性的少数者)に対する行政上の扱いをめぐる議論にも関係するが、婚姻は「子供を産み育てる制度」として構築され、他の人間関係より特別に保護されている。

 子供が生まれなかった夫婦や子供を産まない夫婦も存在するが、婚姻の制度趣旨はその中で子供を産み育てるものとし、夫婦の関係を法的に安定させ、子供の成育環境を整えてその福祉を図ろうというものだ。その点、その関係の中で子供の生まれない同性カップルや、男女の関係であってもあえて婚姻を選ばない内縁・事実婚とは法的扱いを異にすることには十分に合理的理由がある。

 婚姻制度の意義を踏まえ、高齢化社会を見据えた有益な改正であると信じている。(麗澤大学教授・八木秀次 やぎひでつぐ)

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