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【養老先生のさかさま人間学】雑 ピカピカならそれでいい?

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【養老先生のさかさま人間学】
雑 ピカピカならそれでいい?

 「雑(ざつ)」という文字(もじ)には、あまりいいイメージがありません。「仕事(しごと)が雑だ」なんて言(い)いますからね。雑念(ざつねん)、乱雑(らんざつ)など、どれも良(よ)い意味(いみ)を持(も)つ言葉(ことば)ではありません。

 雑然としているというのは、整(ととの)っていない、つまり秩序(ちつじょ)があるようには見(み)えない、ということです。ここは注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。自分(じぶん)に見(み)えていないだけなのか、本当(ほんとう)にバラバラなのか。

 部屋(へや)のそうじをして、物(もの)を置(お)きかえると「必要な物が見つからないじゃないか」と怒(おこ)りだす人(ひと)がいます。他人(たにん)が見ると乱雑ですが、本人(ほんにん)にとっては、ある程度(ていど)の秩序があるんでしょうね。

 わたしはあまりにも秩序だった世界(せかい)は、好(す)きではありません。

 建物(たてもの)でも、できたてのビルなどには入(はい)りたくない。ピカピカして一見(いっけん)きれいなんですが、何(なん)となく、つかれます。そもそも自分自身(じしん)がすでにくたびれた老人(ろうじん)ですから、それがピカピカの世界を歩(ある)いていると思(おも)うと、似合(にあ)いませんよねえ。古(ふる)びた老人は、古びた建物から出(で)てくるのがお似合いではないでしょうか。

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