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【日曜に書く】あまりに残酷で理不尽 東京パラ 谷真海の不出場はこのままでいいのか 論説委員・別府育郎

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【日曜に書く】
あまりに残酷で理不尽 東京パラ 谷真海の不出場はこのままでいいのか 論説委員・別府育郎

トレーニングするパラリンピックの谷(旧姓佐藤)真海選手=2017年1月18日午後、東京・芝浦のウイダートレーニングラボ(酒巻俊介撮影) トレーニングするパラリンピックの谷(旧姓佐藤)真海選手=2017年1月18日午後、東京・芝浦のウイダートレーニングラボ(酒巻俊介撮影)

 初めてトラックを走った爽快感。スポーツを心から楽しいと思い、走り、跳び続けた。走り幅跳びでアテネ、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場した。パラスポーツの意義を、大会の素晴らしさを、身をもって知る。

 11年3月11日、東日本大震災の津波が故郷の宮城・気仙沼を襲った。入院時もその後も見守り続けてくれた母親とは、6日目にようやく連絡がとれた。無事と分かるまでの、長い時間。地獄ならもう見たと思っていたが、自分のことより家族を思う方がずっと辛(つら)かった。

 気仙沼の惨状には言葉も涙も出ず、吐き気がした。それでも海を嫌いにはならなかった。何度も通い、子供たちと遊んだ。世界から多くのオリンピアンが被災地を訪れ、活動した。

 東京五輪の招致では、自らを救い、復興の過程で知ったスポーツの力について、自分の言葉で語り続けた。

 13年9月、ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の最終プレゼンテーションで、彼女のスピーチは多くの感動を呼んだ。

 東京開催決定の歓喜に沸く中で、彼女の肩をたたいて祝福する外国人がいた。

 スピーチで五輪をロンドンに呼び、ロンドン五輪組織委員会会長も務めた陸上中距離のスーパースター、セバスチャン・コーだった。コーは彼女にスピーチの興奮を語り、東京では組織委の中核を担うべきだと助言したのだという。

 だが彼女は、アスリートとして東京を目指す道を選んだ。

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