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【野口健の直球&曲球】ソーラーパネルの法整備が急務

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【野口健の直球&曲球】
ソーラーパネルの法整備が急務

 2年前から、ネパールで森林再生プロジェクトを行っている。国土の大半は山岳地帯。平地が少ないため、人々は山を切り開き「段々畑の山」へと姿を変えた。2015年にネパール大地震が発生し、二次災害も多発。大規模な土砂災害だ。特に森林伐採がされた辺りは被害が大きかった。地球温暖化対策もあるが、ネパール山間部で森づくりを始めた最大のテーマは「災害対策」のためだ。

 しかし、足元の日本では、至る所で自然エネルギーという名の下に全国各地の山々が削られ、ソーラー発電施設が設置されていく。先日、長野県茅野市のPR大使に就任したが、その時に聞かされたのは美しい八ケ岳の近くに計画中の大規模メガソーラーだった。何と東京ドーム約40個分という山林にソーラーパネル31万枚の設置という事業が計画されていたのだ。この事業が計画されているのは諏訪市の霧ケ峰だが、その下流域にある湧水池は、茅野市の水源の一部である。

 この水源は、とても上質であり、多くの日本酒の蔵元がある。茅野市の住民からは貴重な水源が失われ、水が変質してしまうのではないかと不安の声が上がっている。また、この地域は「土石流危険渓流」に区分されており、昭和58年には下流の地域が土砂災害で大打撃を受けている。

 太陽光発電といえば、世界的に進んでいるのがドイツで、かなり厳しく規制している。施設建設による森林伐採においては、その6倍もの植林を行わなくてはならない。また約25年もの間、森の管理も行う必要がある。

 ソーラーパネルの寿命は30年といわれており、行政は、事前に事業主より、供託金を預かり、事業途中で倒産してしまった場合、この供託金より行政がパネルなどの回収作業を行うのだ。

 ある自民党議員に相談したら「民主党政権がルールを変更し、メガソーラー発電が増えた。われわれの責任ではない」と。しかし、その政策を引き継いだ現政権の責任でもある。景観を含めた環境面、また豪雨による土砂災害を防ぐためにもドイツ並みの法整備が急務である。

                   

【プロフィル】野口健(のぐち・けん) アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題、戦没者遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍。新刊は『震災が起きた後で死なないために』(PHP新書)。

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