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【ベルリン物語】改革を支えた共産党幹部の娘は今、環境問題に取り組む それぞれの「春50年」

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【ベルリン物語】
改革を支えた共産党幹部の娘は今、環境問題に取り組む それぞれの「春50年」

プラハに侵攻したソ連の兵士ら=1968年8月(ゲッティ=共同) プラハに侵攻したソ連の兵士ら=1968年8月(ゲッティ=共同)

 「父の話を聞きにくるメディアはいないわよ」。1968年に当時のチェコスロバキアで起きた「プラハの春」50年を機にした取材の際、関係者の一人のそんな言葉に面食らった。

 取材先は芸術史家のミレナ・バルトロバ氏。「春」の改革を支えた理論家の共産党幹部、ズデネク・ムリナーシ氏の娘だ。当時10歳で春の記憶は薄いが、父と交流があったゴルバチョフ元ソ連大統領が自宅を訪ねてきた様子など幼少時代を懐かしげに語ってくれた。

 ムリナーシ氏はソ連側の軍事介入で改革が挫折後、国立博物館で閑職に就き、昆虫を研究。オーストリア亡命を経て、1989年の民主化で政治復帰を目指した。ただ、あくまで共産党主導を唱える左派的主張に人々は距離を置いた。共産党が主導した「春」から時代は大きく変わっていた。

 「学校では(改革派と保守派による)共産党内の争いと習う」。バルトロバ氏の言葉は街で聞いた「春」への冷めた声と重なる。それでも「改革の中身に意味はないが、自分たちのやり方を模索したエネルギーは今も刺激だ」と語った。

 昆虫研究を機に環境意識を高めた父の影響でバルトロバ氏は今、環境問題にも取り組む。脱石炭など「急進的に進めたい」と精力的だ。「春」の受け継ぎ方にはそれぞれの形があった。(宮下日出男)

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