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【国語逍遥】(100)清湖口敏 「日本文化の粋(イキ)」と読んだ河野太郎外相 外相が…出身だから仕方ない?  

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【国語逍遥】
(100)清湖口敏 「日本文化の粋(イキ)」と読んだ河野太郎外相 外相が…出身だから仕方ない?  

「ジャポニスム2018」の開会式でスピーチする河野太郎外相=7月12日、パリ(海老沢類撮影) 「ジャポニスム2018」の開会式でスピーチする河野太郎外相=7月12日、パリ(海老沢類撮影)

 以上のことを踏まえれば、河野外相がスピーチで粋をイキと読んだのも、やはり氏が江戸に近い神奈川の出身だったからという結論になるだろう。

 …と早合点してはならない。ジャポニスム2018は古典芸能や美術のほか、建築、食、映画、漫画・アニメに至るまで幅広く日本文化の魅力を紹介するイベントである。一部はともかく、それら文化全体にはたして「気風、容姿、身なりなどがさっぱりとし、洗練されていて、しゃれた色気をもっている」「遊里、遊興に精通している」(ともに日本国語大辞典)といった江戸由来の粋(いき)に通じるものがあるだろうか。

 否、あるまい。スピーチにおける「粋」は文脈に照らせば、「多数、多様の中で特にすぐれているもの、えりすぐったもの」(同)の意であることは明白であり、この場合、粋はイキではなくスイと読むのが一般的であろう。多くの国語辞典は「粋(すい)」の項に「東西文化の粋」「科学技術の粋」「粋を集める」などの用例を掲げている。

 さても漢字の読みというのは難しいものである。スピーチ原稿の漢字にルビを振ってさしあげるのは親切な方法だが、さりとてルビが多すぎるのも大臣には失礼だろう。さてもさても難しい問題である。

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