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【正論】大戦の検証通じ日本の姿考える 学習院大学学長・井上寿一

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【正論】
大戦の検証通じ日本の姿考える 学習院大学学長・井上寿一

学習院大学・井上寿一学長 学習院大学・井上寿一学長

 ≪反実仮想し歴史の教訓を学べ

 「万一の僥倖」に賭けた結果は日本の国家的な破局だった。その代わり、戦後は平和と民主主義の時代が訪れる。

 しかし開戦直前の武藤(章)陸軍省軍務局長のように、「国体変革」に至るまで敗北しても、日本民族は「再び伸びる」と予測できたのは、きわめて例外的だっただろう。

 対する「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」による戦争回避は310万人を救うことができた。その代わり日本が先進民主主義国になるには、実際よりもはるかに長い年月を要しただろう。

 大政翼賛会から政党内閣の復活への転換に限っても、その過程は曲折が予想される。アジア諸国の独立も遅れたにちがいない。欧州諸国がアジアの植民地を手放す意思はなかったからである。

 他方で第二次欧州大戦が独伊の敗北に終わる。ほどなくして米ソ冷戦が始まる。1920年代の日米協調関係が冷戦状況のなかで復活する。そうなれば現実の戦後日本と同様の日本が形成される。

 8月15日は国民一人一人がこのような反実仮想による戦争の検証作業をとおして歴史の教訓に学びながら、戦没者を慰霊する日となることを願う。(いのうえ としかず)

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