産経ニュース

【正論】最悪の米WTO離脱に備えよ 東洋大学教授・竹中平蔵

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
最悪の米WTO離脱に備えよ 東洋大学教授・竹中平蔵

東洋大学教授・竹中平蔵氏 東洋大学教授・竹中平蔵氏

 ただし、今年から実施された大型の法人税減税に支えられて当面のアメリカ経済は好調だ。不毛の貿易戦争の弊害がはっきりと見えるまで、時間がかかる。従って、この貿易戦争は当面続くことを覚悟しなければならない。

 ≪中国は為替レート操作で対抗か

 対する中国も、激しく報復措置をとっていくだろう。ただしアメリカの中国からの輸入が約5000億ドルなのに対し、中国の対米輸入はその3分の1程度だ。今の延長の報復合戦では、中国は不利な立場にある。その際、中国は為替レートの操作を含めて幅広い対抗措置をとると予想される。中国の中央銀行(中国人民銀行)は独立性がなく、国務院の中つまり政府の中にある。従って、為替レートは政治的意志を強く反映する。

 現実にアメリカが鉄・アルミの追加関税を決める直前の2月末には、元レートはトランプ氏就任直前時点から約1割下落した。これは25%の追加関税の約4割を相殺する計算になる。元安政策がとられれば日本にも影響が出る。

 以上のような米中貿易戦争の中で、日本としては幾つかの視点を持っておく必要がある。

 第1は、トランプ政権はネガティブな面の一方で、したたかな外交戦術も有している。それはハイテク覇権をめぐる米中戦争という視点だ。中国は「中国製造2025」という政策を策定し、2025年までに「世界の製造強国入り」を果たすと宣言。海外企業に買収攻勢をかけている。こうしたなかアメリカは、ハイテク産業での覇権維持を明確に意識し、6月半ばに追加関税の対象に半導体や半導体製造装置を加えた。

 ≪威信懸けたハイテク覇権の争い

 第2は、トランプ氏はさまざまな発言で一見ブレるような姿を見せつつも、結果的に大幅な法人減税など、選挙公約で掲げたことをかなり実現しているという点だ。

続きを読む

「ニュース」のランキング