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【主張】米欧の貿易協議 摩擦解消へ確実につなげ

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【主張】
米欧の貿易協議 摩擦解消へ確実につなげ

 トランプ米大統領と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長が、自動車を除く工業製品の関税撤廃などについて協議を始めることで合意した。

 米国が仕掛けた鉄鋼などの輸入制限に対し、EUが報復関税で応じて摩擦が激化している。米国は輸入自動車への追加関税も検討中である。

 そんな状況で焦点の自動車問題をひとまず棚上げし、事態のさらなる悪化を回避できたのは前進である。報復の連鎖を解消するための一歩となり得よう。

 もちろん楽観は許されない。自動車をめぐりトランプ氏が再び態度を硬化させる事態にも、当然ながら備えておくべきだろう。

 米欧間の貿易停滞は世界経済全体に悪影響を及ぼす。それを避けるためにも対話を重ね、自由貿易に資する交渉に徹してほしい。

 欧州と同様、米国による自動車の輸入制限を懸念する日本にとっても重要な動きである。日本は近く米国との新しい通商協議(FFR)を始める。EUと歩調を合わせ、鉄鋼や自動車の輸入制限には理がないことを訴えるべきだ。

 米国はEUとの協議中、「合意の精神に反することはしない」として新たな関税発動を控える。自動車を想定したものだ。発動をちらつかせて交渉を優位に進めようとする取引外交は厳に慎むべきである。対EUのみの保留にとどめず、措置自体を撤回すべきだということも併せて指摘したい。

 EUは米国産の大豆や液化天然ガス(LNG)などの輸入を拡大する。管理貿易の手法を強めるのではなく、自由で公正な通商関係を構築すべきである。

 歩み寄りの背景には、EU側が報復関税など強気の対米外交を貫いたこともあるだろう。それが米国内の危機感を高め、政権を動かした。日本は米国への対抗措置を控えてきたが、それで対米協議を乗り切れるのか。この点を見極めて、米国の理不尽な振る舞いに毅然(きぜん)と対処すべきである。

 相手構わず紛争を仕掛けるのがトランプ流の自国第一主義だ。同盟関係の日本や欧州まで「安全保障上の脅威」と強弁して攻撃する。だが日米欧は、不公正な貿易慣行を一向に改めず覇権主義に向かう中国に対し共闘すべき関係にある。米国の孤立が中国を利することのないよう、日欧が結束して米国への働きかけを強めることが大事である。

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