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【産経抄】7月23日

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【産経抄】
7月23日

 芥川龍之介が大量の睡眠薬を飲んで自殺したのは、昭和2(1927)年7月24日早朝である。35年4カ月の短い生涯だった。龍之介は「将来に対する唯(ただ)ぼんやりした不安」という有名な言葉を残している。

 ▼もっとも、龍之介が亡くなる2日前に会っている友人の内田百●(ひゃっけん)は、自殺の原因についてこう書いた。「あんまり暑いので、腹を立てて死んだのだろうと私は考えた」。確かにこの年の関東地方は、10日に梅雨が明けて以来、うだるような暑さが続いていた。百●によれば「息が出来ない様であった」。

 ▼芥川賞を創設した菊池寛は、「年毎の二十四日の暑さ哉」と追悼の句を詠んだ。今年91回目となる命日「河童(かっぱ)忌」もまた、厳しい暑さのなかで迎えそうだ。今日は、二十四節気の「大暑」である。家から一歩出ると、いきなり熱風が吹き付けてくる。

 ▼超大型のヘアドライヤーに、立ち向かうがごとくである。高気圧にすっぽり覆われた日本列島各地では、連日40度近い気温が観測されている。気象庁は水分や塩分補給、エアコンの利用など対策を呼びかけている。それでも、熱中症で倒れる人が後を絶たない。

 ▼気象庁が、「夏日」「真夏日」に続いて最高気温35度以上の日を「猛暑日」と定義するようになったのは、平成19年からだ。「ほらごらん猛暑日なんか作るから」(中原幸子)。あまりの暑さに、腹を立て、八つ当たりする気持ちはよく分かる。

 ▼小欄も、何かに怒りをぶつけずにはいられない。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は昨日、大会マスコットの名前を発表した。五輪は「ミライトワ」、パラリンピックは「ソメイティ」。なんだこりゃ。訳の分からないネーミングを世界に発信するのはやめてくれ。

●=もんがまえに月

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