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【正論】思惑が裏目に出た米露首脳会談 北海道大学名誉教授・木村汎

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【正論】
思惑が裏目に出た米露首脳会談 北海道大学名誉教授・木村汎

木村汎・北海道大学名誉教授 木村汎・北海道大学名誉教授

 それは、米露両首脳がヘルシンキで首脳会談の開催をもくろんだ目的に関してである。トランプ氏とプーチン氏が1日だけの同会談で狙ったのは、必ずしも実質的な合意への到達ではなかった。己が米露交渉を熱心に行おうとしている姿勢を自国民および全世界に向けて誇示すること-これがその狙いだった。トランプ氏にとっては、中間選挙を秋に控え、オバマ前大統領が必ずしも熱心に取り組まなかったロシア大統領との会談のデモンストレーションである。

 プーチン氏はトランプ氏以上に米露首脳会談を欲していた。彼はトランプ氏の就任以来、同氏に事実上無視され続けた数少ない世界の指導者の一人だった。自分は、18年間以上にもわたってロシアの最高指導者のポストを占めている。しかも今日、己こそは国際政治の行方を決定する最重要人物だ-プーチン氏にはこのような矜持(きょうじ)がある。にもかかわらず、在任18カ月を過ぎようとするのに、米大統領はただの一度として正式会談を求めなかった。これは、大国ロシアの沽券(こけん)にかかわり、ロシア国民にも示しが付かない侮辱に他ならない。

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