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【正論】台湾海峡に迫る危機を回避せよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

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【正論】
台湾海峡に迫る危機を回避せよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

 世界の視線が朝鮮半島にくぎ付けになっている最中に、中台関係が危険な状況を呈しつつある。昨年10月18日、中国共産党第19回全国代表大会の冒頭、習近平総書記は台湾問題について次のように述べた。

 「われわれには、“台湾独立”勢力のいかなる形の分裂活動を打ち破る断固たる意志とあふれる自信と十分な能力がある。われわれは、いかなる者、いかなる組織、いかなる政党がいかなる時にいかなる方式によって、中国のいかなる領土を中国から切り離すことも絶対に許さない」

 今年3月5日に開かれた全国人民代表大会における李克強首相の政府活動報告も、ほぼ同様の表現であった。

 ≪軍事恫喝で圧力強める中国

 台湾に対する強硬発言を裏書きするかのように、4月18~20日には中国空軍の爆撃機などからなる隊列が宮古海峡を経て台湾の東側ルートを飛行、5月11日には最新鋭戦闘機スホイ35などを含む編隊がバシー海峡と宮古海峡の上空を演習飛行した。中国の空軍報道官は、この演習は「国家主権と領土の一体性を守る能力強化」の一環だと述べた。また4月21日には、空母「遼寧」が宮古海峡を通過、空母からの艦載機の発着が確認された。

 台湾の蔡英文総統は“台湾の将来を決定できるのは台湾人自身であり、この権利は決して侵されてはならない”という立場に立つ。

 米国も日本も、「一つの中国」という中国の立場を認めているのではない。日中国交樹立は1972年の日中共同声明によってであるが、ここでは台湾が中国の領土の不可分の一部分であるという中国の主張を、日本が「理解し、尊重」するという立場にとどめ、中国の主張を承認したのでも、それに同意したのでもない。

 米国の対中国交樹立に関する「上海コミュニケ」もまた、台湾が中国の一部分だという中国の主張については、これを「認識している」という以上のものではない。日本、米国のいずれも、台湾の領土的な位置付けについて独自の認定をする立場にはないと表明し、以来、現在までこの立場には両国ともまったく変わりはない。

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