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【日曜に書く】W杯という大河を楽しむ 論説委員・別府育郎

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【日曜に書く】
W杯という大河を楽しむ 論説委員・別府育郎

ロシアW杯の公式練習で話をする西野朗監督(右)と本田圭佑=ロストフナドヌー(撮影・中井誠) ロシアW杯の公式練習で話をする西野朗監督(右)と本田圭佑=ロストフナドヌー(撮影・中井誠)

 ただ今大会で成果を残したのは4年前のチームではない。当時の大きな敗因だった選手の過信を根底から破壊したのはハリルの功績だろうし、ベルギーの守備網を切り裂いた柴崎岳のスルーパスは「奪って速く」とハリルが求め続けたものだ。ハリルが引き絞った弓を、西野が放ったようでもあった。

 サッカーの攻守は表裏一体のもので、本来は論じることにあまり意味はない。決勝を戦うフランスなどは相手や展開によって自在に違う顔をみせる。ただ能動と受動、ポゼッションとカウンターのどちらをベースに戦うかは思想、哲学の問題なのだろう。その相克が、W杯という大河のドラマ性を深める。

花嫁の涙

 2002年W杯のロシア戦前に、今は亡き長沼健さんに聞いた話だ。メキシコ五輪前に日本代表を率いて欧州に遠征した。横浜港からナホトカを経てシベリア鉄道とバスを乗り継ぐ間に小さな町で結婚式に遭遇した。日本代表と知られて参列を求められ、全員ジャージー姿で出席し、横浜港で買った銀のスプーンセットを贈った。花嫁は大粒の涙を流し、「サッカーのナショナルチームに祝福された幸せ」を語ったのだという。

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