産経ニュース

【正論】米国の心理映し出すトランプ流 元駐米大使・加藤良三

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
米国の心理映し出すトランプ流 元駐米大使・加藤良三

元駐米大使・加藤良三氏 元駐米大使・加藤良三氏

 ≪一方的な出血サービスはしない

 トランプ政権は独特のユニラテラリズムに傾斜している。独特というのは、最近のアメリカの論考に「トランプ氏がならず者の超大国を選択したかに見える」と指摘があったことに関連する。

 その論旨は、米国は戦後自由な世界秩序を構築し、これを守る「世界の警察官」の役割を長く務めた結果、同盟国・友好国が安全保障、経済の面で米国に依存する図柄ができた。皆それに安住してきた。歴代大統領はこれが米国の利益にもなるという認識の下で、「小人のロープに縛られたガリバー」役を受忍してきたわけであるが、トランプ氏の流儀は違うということである。恐らくトランプ氏にはこれがアメリカの一方的な出血サービスに見えるのだろう。

 ブッシュ43代大統領のユニラテラリズムにはこの要素は希薄であり、例えば安保面で大枠においてアメリカが攻撃能力を一手に引き受け、日本は防御的能力の向上に努めるという役割分担を問題視することはなかった。

 トランプ氏の米国は歴代大統領が同意し、受け入れてきた「日本が自らの防衛力整備に課した特別な制約」をあまり斟酌(しんしゃく)しないのではないか。トランプ氏には個人としてよりも彼に化体されたアメリカの心理と現実を表している何かがある。それは戦後、長く続いたアメリカの寛容性の衰退かもしれない。思えばその萌芽(ほうが)は折々に感ぜられていた。

 私自身、冷戦時代からイラク戦争に至るまで時折、米側から日本の安保面での対応について辛辣(しんらつ)なコメントを受けた。やり過ごしたり反論もしたりしたが、アメリカ側には一貫して全てを包みこむユーモアのセンスがあった。今は一人横綱の目は尖(とが)りがちに見える。

続きを読む

「ニュース」のランキング