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【解答乱麻】「空気を読んでも、空気に流されるな」 公、道徳から乖離してはならない  武蔵野大教授・貝塚茂樹

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【解答乱麻】
「空気を読んでも、空気に流されるな」 公、道徳から乖離してはならない  武蔵野大教授・貝塚茂樹

 山本氏によれば日本人は対象それ自体をそのまま把握するのではなく、その背後に何か宗教的なもの、絶対的な「恐れ」に近い感覚を感じ取るという。これを「対象の臨在的把握」と称した。戦前、戦中、戦後という時代が変化しても「空気」が日本人の意思決定の底流に脈々と受け継がれていると指摘した。

 日本人には「世間」はあるが、「社会」はないと言われる。西洋の「社会」という言葉は、本来は個人がつくる社会を意味しており、個人が前提であった。しかし、日本の個人は欧米のそれとは異質のものであり、日本人にとって重視されるのは、「世間」である。それは、「そんなことをしたら世間が許さない」「世間体が悪い」という言い方はあるが、「社会が許さない」や「社会体が悪い」という言い方は生まれなかったことに表れている。そう指摘したのは阿部謹也氏である(『学問と「世間」』)。

 ただし、阿部氏の主張するのは、日本人が「社会」を無視したということではなく、「社会」と「世間」をうまく使い分け、ダブルスタンダードの中でバランスを取ってきたということである。論理的な判断基準としての「社会」と身近で親密な関係性を基軸とした「世間」との間をうまく調整し、折り合いを付けてきたのが日本人であったということであろう。

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