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【正論】エネルギー政策の漂流を許すな 国際環境経済研究所理事・竹内純子

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【正論】
エネルギー政策の漂流を許すな 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事・竹内純子氏 国際環境経済研究所理事・竹内純子氏

 政府は「エネルギー基本計画」の見直しを進めており、先月その素案を発表した。「再生可能エネルギーを主力化する」という表現や、長期エネルギー需給見通しで示した2030年の電源構成の改定には踏み込まなかったことなどが、メディアでも報じられた。

 ≪日本に捨てられる選択肢はない

 電力事業も都市ガス事業も自由化されたのに、政府がエネルギー基本計画を策定したり、将来のエネルギー構成を1%刻みで示すことに疑問を持つ人もいるだろう。確かに市場原理と規制が同居することに居心地の悪さは否めない。

 しかし、政府がビジョンを示し事業者の投資に予見可能性を与えることは重要だ。自由化によりエネルギー事業は市場原理に委ねられた。基本的には電気を一円でも安く提供できる者が勝つシンプルな世界だ。今後政府は、複数の施策によって、外部不経済の内部化も含めたコスト競争の結果を、描いたビジョンに「誘導」せねばならない。

 今回のエネルギー基本計画は、4年前のものとほとんど変わっていない。議論の段階で2050年の姿を検討したことや、再生可能エネルギーの経済的自立を強く求めた点以外は評価のしようもないのだが、一つくみ取るとすれば「リスクのないエネルギーはない」ということだろう。

 原子力は言うまでもなく、事故のリスクや放射性廃棄物処分の問題がある。化石燃料にはオイルショックのような地政学リスクに加え、温暖化・大気汚染の懸念がある。原子力発電所が稼働していない状況では、化石燃料の調達交渉で足元を見られることも事実だ。

 再生可能エネルギーも例外ではない。今冬、東京電力管内で太陽光パネルの上に雪が積もって数日間発電がほぼゼロという状態になったように、気象リスクがある。再生可能エネルギーの導入だけでなく、その調整役の火力発電の低炭素化を進めなければ思ったほど二酸化炭素削減が進まないことはドイツの事例からも学ぶべきだ。

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