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【産経抄】6月20日

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【産経抄】
6月20日

 かつて日本の民家を取り囲んでいたのは、主に板塀や生け垣だった。ブロック塀が普及するのは戦後になってからだ。それをもう一度、生け垣に切り替える。

 ▼東京都国分寺市の高木町自治会(831世帯)が、30年以上にわたって取り組んできた試みである。昭和53年6月に発生した宮城県沖地震が、きっかけとなった。死者28人のうち10人以上が塀の下敷きになって亡くなっている。

 ▼高木町には狭い路地も多く、ブロック塀が倒れると、避難ルートもふさがれる。危機感を強めた住民が、塀の点検やアンケートを始めた。自治会長の桜井幹三(かんぞう)さん(75)によれば、見学に来た人は一様に、花と緑にあふれた町の様子に感嘆の声をもらす。

 ▼平成7年の阪神大震災では、1480カ所のブロック塀が倒壊し、救助活動の大きな妨げとなった。ブロック塀の危険性は広く認識されていたはずなのに、教訓は生かされなかった。

 ▼18日朝の大阪北部地震で亡くなった安井実さん(80)は、近くの小学校に登校する児童の見守り活動に向かう途中、ブロック塀の下敷きになった。塀の持ち主は、安井さんの古くからの知り合いだった。小学4年の三宅璃奈さん(9)の命を奪ったのは、小学校のプールの外壁である。高槻市によると、3・5メートルの高さは、建築基準法に違反しており、定められた補強工事もなされていなかった。

 ▼近年、ブロック塀の撤去や生け垣の設置に補助金を出す自治体が増えている。高木町自治会は、国分寺市が同様の制度を設立する前から、独自の「へいづくり憲章」を制定していた。「緑豊かな町」を守り、「お隣と会話のできる」「歩行者の安全を考えた」、何より「子どもの命を守る」塀づくり。全国に広がってほしい。

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