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【正論】「議論の本位」定め大事を論ぜよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

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【正論】
「議論の本位」定め大事を論ぜよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

 「事の軽重」を見誤ってはならぬ

 東アジアの地域秩序が大変動期に入った。朝鮮半島情勢の帰趨(きすう)によっては日本が存亡の縁(ふち)に立たされる危険性がある。「小事」に淫(いん)する国会議論、ジャーナリズムの大衆迎合が日本の「大事」を失することにはならないか。

 福澤諭吉の信念は「西力東漸」の帝国主義時代にあって日本が亡国を免れるには、文明開化以外に道なし、であった。いかにすれば日本の文明開化は可能か。3度の洋行での知見と数多くの欧米文献を渉猟して執筆された福澤畢生の大作が『文明論之概略』である。第1章が「議論の本位を定る事」であり、その文頭にこうある。

 「軽重、長短、善悪、是非等の字は相対したる考より生じたるものなり。軽あらざれば重あるべからず、善あらざれば悪あるべからず。故に軽とは重よりも軽し、善とは悪よりも善しと云うことにて、此(これ)と彼と相対せざれば軽重善悪を論ずべからず。斯の如く相対して重と定り善と定りたるものを議論の本位と名(なづ)く。…都(すべ)て事物を詮索するには枝末(しまつ)を払てその本源に遡(さかのぼ)り、止(とどま)る所の本位を求めざるべからず。斯の如くすれば議論の箇条は次第に減じてその本位は益(ますます)確実なるべし」

 国人よ、現下日本の「議論の本位」を見誤ることなかれ。(拓殖大学学事顧問・ 渡辺利夫 わたなべとしお)

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